戦う司書と雷の愚者 BOOK2 (集英社スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と雷の愚者 BOOK2 (集英社スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と黒蟻の迷宮 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と黒蟻の迷宮 (スーパーダッシュ文庫)




2巻と3巻目。2巻は結構前に読んだので印象が薄れてます。まあ悪くはなかったんですけど、1巻のシロン関連の構成に比べると怪物関連の種明かしがちょっと弱いんで、1巻ほどのインパクトはないかなー。

本筋とは関係ないところで面白かったのが口から火球を放つという使いかっての悪い能力をわざわざ選んだロンケニー君に皆で駄目だしするシーン。スピード足りないとか射程が短いとかボロクソ言われたうえに「考えそのものを改めなきゃだめだぜ」とまで言われるロンケニー…。そりゃまあ、口から火だもんなあ。大道芸かよ。


3巻は主役がモッカニアと思わせておいてウインケニーでした。いやま、この作品は基本司書側と神溺教団側の人間をそれぞれ主役に据えるW主人公制なわけですけど、今までは爆弾・怪物と明確にタイトルに現れていたのが今回は「黒蟻の迷宮」だったんで気付くのに時間がかかった。


構成としてはウインケニーの生い立ちから語られるストーキングマンの視点でモッカニアの心情も読み取れるように意図されているものの、第3者の視点からすれば又聞きに過ぎないんで、どうしてもウインケニーのほうに感情移入してしまうと言う。特に母親関連のエピソードはきつかった。


このウインケニーの母親は1巻のとある登場人物で、このキャラに限らず1・2巻で退場したキャラが後で出番を与えられて密接にリンクしていく様はブギーポップぽくて良い感じ。ただ3、4巻程度なら通しで読んでる読者へのサプライズになり得るこの手法も、長く続くと通し読み前提の俺世界状態になっちまうんで、そこが不安といやー不安かなー。




キャラに関してはミレポックが秀逸。就職3年目くらいの脱新人が新卒採用者に偉そうにクールぶった説教するあたりが最高です。それでいて現場が混乱に陥るともうどうしていいかわからずうろたえるミレポックさん。4巻は表紙、つまり司書側の主役キャラに大抜擢です。でもこの本の表紙キャラは割りと高い確率で死亡するので気をつけろミレポックさん。


あとノロティは泣き付けば一回くらいヤらせてくれそう。