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曲とシステムは良かったぜ?




ショパンがどんなゲームか知らない人の為の解説。


XBOX360で初めての国内産大型RPGという触れ込みで発売されたゲーム。開発はトライクレッシェンドトライエースに所属していた初芝弘也が独立して立ち上げた会社であり、独立してはいるものの何かとトライエース作品と絡むことが多く、このショパンの音楽もトライエース御用達のサウンドクリエイター、桜庭統がメインを務めている。


システム、グラフィック、そして何よりタイトルに恥じず音楽が素晴らしい。戦闘はテイルズやスターオーシャンのようにバトルフィールドを自由に動きつつ、攻撃・行動そのものは順番が来たキャラから行うターン制であり、ヴァルキリープロファイル2やグランディアシリーズのそれに近い。個人的にはハーモニーチェインの存在といい、爽快感と戦略性を両立させたよく出来たシステムだと思う(特に敵が強化され、パーティクラスを最初からフルに活用できる2週目)。


また音楽も桜庭節全開の戦闘BGMに加え、各章ごとに特定の場面でショパンの原曲を元にしたアレンジ楽曲が流れ、これの出来もまた至高。グラフィックも悪くなく、キャラの表情ものっぺりとしたそれではない。さらには有名どころの声優を大量に起用したキャラの演技も及第点。


・・・と、これだけみれば傑作、良作と呼ばれるに差し支えない出来ではあるものの、ある一点が見事なまでに崩壊している為、360初の大型RPGという期待を裏切られたというショックからか、現在やPS3版の評価は兎も角、当時はクソゲー扱いされていた。その崩壊している一点とは、ストーリーと、ショパンを語るうえで欠かせないEDである。・・・あれ、二点になったか?


ストーリーの酷さは中盤までは目立たないものの、第6章からまるで打ち切り漫画のような急展開となる。代表例として、物語上の大ボスであるワルツというキャラがいるのだが、こいつがダンジョンの途中で主人公達に襲い掛かる。展開的にはラスボスによる「お前たちの実力を見せてみろ」的な展開であり、通常こういうバトルは負け前提のイベント戦闘か、勝っても負けても展開が変わらない半イベント戦闘であるはずだが、このゲームでは普通に勝ててしまい、挙句の果てに戦闘終了後、ワルツは死ぬ。しかも大ボスの癖にろくな台詞も残さずに、戦闘が終わったらその存在が消えていたといってもいいくらいである。


このあとワルツの腰巾着であったレガートを追い、第7章(実質的な最終章)に突入する。ラスダンを攻略し、レガートを倒すと最終章。この最終章に入った瞬間に、パーティメンバーのショパンが豹変、突然襲い掛かってくる。その際の台詞は「貴方達は・・・私の夢の中の登場人物に過ぎない!」といったもの。このゲームはショパンが見ている夢であるという設定でスタートするのだが、それにしたっていきなり牙剥き過ぎである。パーティメンバーがラスボスになるRPGは数あれど、このゲームの場合はそこまで離反フラグの描写が多くない為、どうしても「いきなり意味不明なことを言い出して襲いかかるキチガイという印象が拭えない。が、攻略本などにより情報が出揃った今となっては一応納得できる理由付けが公開されている。唐突ではあるが、この後に比べればまだ充分理解できる範囲であり、この世界が死に際の自分が見ている夢ではないのだ・・・と満足して倒れ付すショパンは物悲しい。一応擁護しておくと、このラスボス戦自体の革命アレンジBGMは素晴らしいの一言に尽きる。音楽は掛値なしにいいゲームなのだ。


そしてショパンを打ち倒すと、このゲームがクソゲーといわれる最大の理由でもある電波EDに突入する。動画もあるので「別にやりゃしねーだろうしネタバレとか怖くねーよ」という人はご覧下さい。




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・・・ご覧頂けただろうか。長い?そうだね。意味がわからない?当然でしょう。実際に買って最初から最後までプレイヤーすらワケがわからなかったのだから。


一応さっきのショパンの行動と同じく、今ではウィキペディアなどで相応の見解が確認できるので、それを見ればわからない・・・ことも・・・ない・・・?いずれにせよ当時のプレイヤーにとっては「ナンだこれ」「ふざけんな」「でんぱっぱ」と言った印象であったことは間違いない。世界がループしている、そこまでは理解できる。しかし突然自らの役目を悟り谷に身投げするポルカの行動や、何故ポルカが身投げすることでループするのか、さらにその後なんで無限ループから救われてポルカが戻れたのか等が、ムービーの行動だけでは解り辛くて仕方ない。極めつけにスタッフロールと共に長時間聞かされるハメになる謎のオールスター説教劇。別に社会風刺や地球を大事に、みたいなテーマのゲームでもないくせに最後にコレである。何故数十時間(とはいえこのゲームはかなり短い部類なのだが)プレイしてきた挙句に、人生観というか、生き方に関して疑問を投げかけられたり説教されなくてはならないのか。しかも長時間。EDをちゃんとしないとゲームそのものの評価が崩壊する恐れがあるという好例であろう。


が、まあ。一応さらに擁護しておくと、やはり360初の大型RPGタイトルという触れ込みの所為もあったと言わざるをえないような・・・。これが例えばPS2で発売されていれば、そこまで酷評を受けることもなかったんじゃないかと。注目もされなかったろうが。




余談。パーティメンバーが裏切ってラスボスになるゲームは幾つかあるが、ショパン発売が2007年。この一年前にはヴァルキリープロファイル2が、一年後にはスターオーシャン4が発売されている。両者とも戦闘システムはいいがストーリーはちょっとアレ、という評価であり(SO4は兎も角VP2は個人的に好きなんですけど)、両作品ともにトライエース、当然もれなく桜庭統が関わっている。だからなんだといわれればそれまでだが。




ちなみにこのゲームに登場するロンド(cv浅川悠)というキャラクターは技の発声が英音。その流暢ぶりには聞き惚れる程。




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何が言いたいかというと、香奈枝さんも少しは見習って下さい、と。発音がもう少しマシなら人気も上がってたかも知れませんしね。