お、え、たー。PSP2に黒円卓コスも配信しろよ畜生。というわけで螢ルート感想。








まずは蓮の台詞に声が付いたことだし、心機一転も含めて分岐までスキップせずに再プレイ。声が付いた結果、07・クンフトの時点では割とドライでクールなキャラって印象だった蓮が、案外正当派の熱血系主人公だったんだなーという認識に。なんつーか、エクスクラメーション・マークの存在って大きいんだなあ。語尾に「!」が付いてなくても音声だと叫んでるって感じ。07版の七英雄担当分のテキストは「蓮が無策で叫びながら突っ込むただの熱血バカになっている」と酷評されたもんだけど、案外人物評としては的を得てたんじゃなかろうか。


あとアペンド版は追加パッチという扱いではなく、クンフトとは別プログラム扱いで統合されず。つまり完全版なら兎も角、アペンドのファーブラでは香純・マリィルートはそもそも実装されていない為か、選択肢が大幅減少。基本的に自動で螢or先輩寄りの選択肢を選んだ展開に。マリィなんか問答無用で「消えてくれ」だし。六章タワー前での選択肢もないし「ルサルカを探す」「螢を探す」も自動で螢が選ばれてる。の割りに「香純を連れていく」「螢を連れていく」みたいな選択肢が残ってるのは、そもそも先輩に関する選択肢があんまないからか?ここらで螢を選ばなければ自動で先輩ルートに突入する仕組みなんだろう。多分。選択肢といえば基本選択肢ごとにセーブを残すクチなのだが、今回は選択肢でのオートセーブ機能が実施されているので、選択肢で手動セーブが出来ない。それを知らなかったうえに、オートセーブ欄が通常セーブ欄とは別枠にあるので、最初バグかと思ったよ。やれやれ。




さてどうやら螢ルートは香純ルートからの分岐のようで、香純・マリィルートが分岐する六章の展開は香純ルートに準じたもの。確かに味方になるのはマリィルートの方だけど、感情を爆発させたり香純との友情があるのは香純ルートなんで、妥当ちゃ妥当かも。七・八章も螢との濡れ場描写やリザを殺すのがトリファではなく半復活したザミエルになったりと、違いはあるものの話の流れそのものは香純ルートのままに、九章の学校戦から大幅な逸脱を果たす。これぞ未知か。随伴が司狼からエリーに変わり、まさかエリーとヴィルヘルムがバトるんじゃなかろうな・・・と思ってたら、ヴィルヘルムの相手は螢に。蓮はカイン&ルサルカのコンビとバトル。この二面バトルから大隊長全員降臨の流れは、新規BGMの大量放出もあいまって異様な盛り上がり。既知から未知への変化という意味での贔屓目が入るにしても、螢ルートじゃこの九章が一番面白かったかも。劇中キャラどもの「未知くれよ」発言が身に染みた。


この九章から螢のフルボッコ受難が始まるわけで、さすがに自分で「あんまり虐めないでよ」と泣きを入れるだけあってそのボッコぶりはかなりのもの。肉体面ではヴィルヘルムに顔面をぶん殴られ、杭で心臓や喉を貫かれ(こともあろうに貫かれて喜んでたおかげで見事ヴィルヘルムから直々に変態マゾの称号をゲット)、シュライバーにはバイクで轢かれたうえで顔面に銃撃を叩き込まれ(しかも連射)、トリファには裏拳で顔を殴られ歯をブチ折られ・・・と、兎に角顔面にダメージが集中してる印象。ヒロインなのに・・・。


心理面でも甘いだの黒円卓として認めたことは欠片もないだの、用済みだの薄いだの、戦う相手全てに肉体・心理面で打ちのめされてますな。特に「私は黒円卓の子供だ」→「お前を黒円卓の一員と思ったことは一度もねえ」という一連のシーンはキツかった。まあヒロイン中唯一「戦える」立場にあるので、特権といえば特権なんだが・・・ヤな特権。そのうえ日常キャラとの掛け合いでもその虐めてオーラの所為か、香純以外のキャラには相性的有利マークが付かず、とことん弄られるハメに・・・。まあ、どん底から這い上がる&弄られる螢が好きなんでいいんだけど。


ヴィルヘルムの退場については・・・まあヴィルヘルムだから、としか。さすが消化不良はベイのお家芸だな!ただ対多数を前提とした創造の癖に、強い力を持った存在が結界内に複数いると、そいつらの所為で力が弱まるってなんか・・・弱点追加だけでさえアレなのに・・・。あと「俺としてはバレバレのつもりなんだが意外とどいつも気付かねえって本気で言ってんですか。


ルサルカに関してはお約束を通り越して、十章冒頭そのものがもはやネタの域。カインとの戦闘シーンどころか死亡シーンに台詞すらなく


「背後では予想通り凶のクジを引いた少女が
 死者の怨念に引き裂かれて断末魔の悲鳴をあげている」


二行のみ。だ、ダメだコイツ・・・。このうえ十三章でニート「シュライバーのはダメだけどルサルカのならまあいいやって司狼に聖遺物渡されちゃうし・・・。そりゃ獣殿も「さすがの俺もそれは引くわ」って言うよ!事前にPVや正田のコメントで、先輩ルートで大活躍する(と言っても発売前はそれが螢ルートか先輩ルートか判別難しかったので後付の消去法)ことを知っていなければ創造(笑)扱いになるところだぜ・・・。




十章で螢と一応の和解を果たし、念願の新規濡れ場。あーいいな螢。主人公の価値観に一方的に毒されることなく、手段は決定的に違うけど、求めるところは同じ(日常)だからこそ互いに認め合うって最高のバトルヒロインよ。村正の一条が好きなのもそんな理由です。別に主人公の価値観が唯一無二絶対てわけじゃないんだから、戦ったキャラ全てを己色に染め上げなくてもいいんですよ。染め上げられるほうも染め上げられるほうで、何かに打ちのめされたからってそれまで縋っていた価値観を放り出して依存しなくてもいいんですよ。思考停止だそれは。敵を魔物使いの如く倒して起き上がらせて味方にすんなとかそう言うワケでなく、味方に回るにしても自らのエゴを捨てないで欲しい。るろ剣でも言ってたじゃないですか。「勝ったほうが正しいというなら、それは志々雄が正しいということだって。


ちなみにヒロインではないものの、メインキャラが戦いに負け、後に自分の価値観を放棄し迎合した例としてはシン・アスカとか。主人公・・・。とはいえ誰かに絶対的な忠誠を誓う忠臣キャラは好きなのだが。要はフラフラすんなと。いや、フラフラしてもいいけど、実際螢は割とふらふらしてる所為で蝙蝠だの薄いだの言われてるけども、それでも頑固さっつーか、諦めの悪さを持てというか。「それでも!」と足掻いて欲しい。


濡れ場が終わるとシュライバー来襲。性格、戦闘スタイルにピッタリの、ギルティギアにでも出てきそうなクソ格好良い専用BGMまで貰って蓮・螢・司狼の3人相手に大暴れ天童。その強さは蓮と螢のダブル創造発動が形成のカマセ演出になるほど。司狼のトラップで一撃を食らわせたものの、その一撃が引き金となってマリィルートでは発動せずに終わった創造が遂に・・・と思ったら、まさかのトリファ乱入で退場。なんかシュライバーが哀れだ。幹部連中の出番そのものが平等にない香純ルートは兎も角、マリィルートでは形成で圧倒してたのに時間停止の助力を受けて創造発動することなく死亡、螢ルートではPV3のトップで使われたイベントCGで遂に「創造(ブリアー)」と詠唱を終えたのも束の間、トリファの不意打ちで退場。・・・コイツ、ヴィルヘルムと同じ呪いでも抱えてんじゃないの?もしくは「相手より常に一歩速い」というチートな能力を正田が扱いきれなかったのかも。まあこのゲームの敵キャラって不意打ちか不測の事態で隙が出来て〜ってのが大半なんで、シュライバーに限ったことでもないのだが・・・。


しかしトリファは優遇されてるなあ。香純ルートじゃラスボス、マリィルートじゃ計画失敗するも見せ場はアリ、螢ルートでも子供たちの直接の仇であるシュライバーを退場させ、最終章一歩手前までボスの位置にあり、先輩ルートでも立場上ないがしろになるとも思えないので、黒円卓で一番優遇されてるのはこの人では。司狼も司狼で、よく考えたらこの闘い、トリファを抜かせば一番活躍してるし。生身なのに。相変わらずの補正・・・と思ったが十三章でのニートの発言からして、どうも獣殿と本質的に同じ在り方をしてるらしい。ならしょうがねえか。クレイモアに関してはシュライバーのスピードなら、感知してベアリング弾が放出される頃には、もうその場をとっくに通り過ぎてていねえだろ、と思うが。




十一章は最終決戦前の繋ぎ。バトルなしのエロゲー・ギャルゲーであればEDといった風情。好意を持った人間には臭い台詞を平気で吐ける蓮にとって、苦手だからこそ素直に好意を伝えることが出来ないと言う立ち位置は螢だけのもの。誇ってよい。最後までお互い名前で呼び合わないしね。この章でようやくベアトリスと戒が死んだ時のことも語られたワケだけど、双頭鷲(ドッペルアドラー)とかいう黒円卓以外の超人(かどうかは不明だけど)機関の存在は兎も角、トリファの説明をそのまま鵜呑みにしていた螢のアホさ加減が際立つ。疑おうぜ!


しかし戒の声は湊斗さんと中の人が同じとは思えん・・・。湊斗さんの声質を若くしたうえで思いっきり優男というか、キザったらしくすればこんな風だろうか。




十二章では蓮vsカイン、螢vsトリファの二面バトル。正直シュライバーがいなくなった時点で、ラストバトルは蓮vsマキナ、ベアトリスvsザミエル、螢vsトリファという組み合わせになると思ってただけに、ここに来てマキナとザミエルが出ないのは意外だった。そのぶん「とっとと中からベアトリス出てこい」と思ってばかりでカインそのものには大して期待してなかったのをいい意味で裏切られた感じ。ルサルカの言葉通り、ほんとに劣化レギオン能力なんだな。とは言え、それに対する主人公は最後にベアトリスを切り離す以外は逃げ回るばかりでろくなもんじゃなかったが・・・。ここらへんも、能力が絡め手を併用できず、基本一撃必殺ゆえの動かしにくさを感じる。「諦めない」×4の選択肢はどこかの複眼復讐鬼を連想して笑えたけど。


一方の螢vsトリファは、トリファの能力を見知ってるプレイヤーとしてはしばらく螢がボコされるのを眺めるだけ。「ベアトリスを殺したのは他ならぬ戒」ってのは、プレイヤーにとっては今更というか「雷出してんだからそりゃそうだろ」と。螢もベアトリスの能力さえ誰かに聞いて知っておけば、カインが初戦で雷出した瞬間に気付けたのに(ヴィルヘルム戦でニアミス)。今のカインは四代目=ベアトリスとのことだけど、雷使いながら「ベアトリス」と呟いてるのはどう考えても戒だろうし、何よりコピーロンギヌスの能力は倒した相手の能力をストックするだけなのか、それとも存在そのものも取り込むのかとか、蓮は三代目=戒までの認識しかなかったりと、この辺はプレイヤー・蓮・螢で視点と保有知識がバラバラのおかげで少し混乱する。戒がベアトリスを倒して取り込むはめになった真相も割としょぼ・・・というか、櫻井の家系はこんなんばっかか?うっかりが遺伝してる何処ぞの魔術師一族のようだ。


それでもバトル自体は燃え展開で、ローエングリン発動に合わせてスルーズワルキューレが飛来し、即興の二刀流でトリファを倒す螢は格好良し。というか、九章からここまでを切り抜くと蓮と螢、どっちが主人公やらわかんねーや。がしかし、トリファをどうにか倒したと思えば獣殿が遂にご出陣。「「では参ろうか」には思わず「くんな!」と。




そして最終十三章。城の中での三面バトル。というか螢はただ因縁の相手がおらず(ザミエルはベアトリスに取られたし)余っただけとも言うが。単身でラインハルトを相手にしなきゃいけないとかどんな罰ゲームだよ・・・。三人の中で一番弱いのに一番強いのと当たってるじゃねーか。


この三面バトルの見所は当然、ベアトリスvsザミエルの組み合わせ。折れない螢vs絶対的なラインハルトや、蓮vsマキナの因縁対決もいいけど、後者はマリィルートでもうやったしね・・・。マキナ関連で新たな収穫といえば、どうやら蠱毒は現実のヴェヴェルスブルグ城で行われたっぽいことか。マリィルートでマキナの言動からヴァルハラ版のほうでエインフェリアが殺しあった末だと思ってたけど、どうも現実世界で殺し合わせた末っぽい。


さてお目当ての復活ベアトリスvsザミエルは、女版Gガンダムとでも言うか、部下と上官として、友として、お互いに好意を抱くもの同士がぶつかりあうラブラブ天驚バトル。マリィルートのvs螢と比べると、いかにザミエル姐さんがデレてるのかがよくわかる・・・。創造詠唱の合唱と言い、ラインハルトと初めて出会った時の回想といい、痴話喧嘩というか、ザミー姐さんが唯一、部下とはいえ友として語らえるベアトリスの前ではここまで気安くなるのか。ベアトリスもベアトリスで友情だか愛情だか尊敬だか敬愛だか百合だかその全部だかってくらいザミエルが好き過ぎで、ベルリン崩壊云々も、命令の内容よりも、ザミエルがそんな命令を下す人間になったことがやりきれなかったんでしょうな。マリィルートでラインハルトが再現していたザミエルの真なる創造「焦熱世界・激痛の剣」発動から


「一緒に還りましょう、ヴィッテンブルグ少佐。ヴァルキュリアでもザミエルでもなかったあの頃に。きっとそこが、私達のヴァルハラなんです」


「抜かせ馬鹿者、貴様こそ――私と未来永劫に、黄昏まで億万の戦場を駆ければいいのだ。今さら後戻りなど有り得ん。貴様が来い!


と張り合うシーンはその最高潮。この後蓮・螢・司狼vs獣殿・ニートの最終決戦があるにはあるが、決着の仕方も含めて螢ルートのラスボスはやっぱザミー姐さんじゃなかろうか。当初のラインハルトもマキナもシュライバーも出ずに、ザミー姐さんだけ復活してラスボスになる・・・という予想と展開は違ったけども、ラスボスとしては当たらずも遠からず。ラインハルト戦はRPGで言うならラスボス倒したあとの負け前提のイベントバトル、そしてエピソード2って感じだし・・・。チンピラキャラ同士のバトルに定評があるという正田の評価に、女同士のバトルも付け加えておきたい次第。マリィルートの螢vsザミエルも良かったし。問題は主人公のバトルがつまらんってことで・・・。




ED後のエピローグはロシア、三人、雪の降る中というシチュエーションが「あやかしびと」のトーニャルートを連想させる「続きは映画で!」タイプ。反故にしちまえばいいのに律儀に香純が約束を守って生まれた次代のゾーネンキントや、残る新生黒円卓と、本当にこの先のエピソードだけで一本作れそう。マリィルートと違って永劫回帰は破られないし、確かに司狼の言うとおり主要メンバーが全員生き残ってるハッピーエンドではあるけど、ある意味では全然ハッピーじゃねえとか、二十年経って世界中で戦場跡や聖遺物を処理するのは良いけど、聖遺物の特性上、人の魂吸収していかないと強くなれないんで、それを是としなそうな蓮や螢は強さあんま変わってなさそう、つまり再戦してもまた負けるのでは、とか思わんでもないが。ああでも聖遺物ぶっ壊してるってことは宿ってた魂を吸収してるのかな。ともあれ香純ルートよりはずっといいシナリオとEDでした。と、言うか。途中まで被ってる所為でさらに香純ルートの立場が・・・。悲惨過ぎる。


残念な点を挙げるとするならばベアトリスが出るのが案外遅かったことだけど(てっきりもうちょい早く出てきて蓮・螢と3Pでもするのかと期待してたのに)、十三章を見るにこれで良かったのかも・・・。最後の最後の十三章のみの出番の癖して、すでに螢を食いかかってた節があるし・・・。




そして遂に、07版から数えて丸二年間の終幕となる先輩ルート。敵の強さは香純→螢→マリィ→先輩の順らしいので、80%の大隊長や、流出状態の獣殿よりもさらに上が見られるということかしら。実際のところはバトルのインフレ度合いより、螢ルートになかったことで先輩ルートに確定したヴィルヘルムvsシュライバーマキナvsルサルカのほうが愉しみ。早くプレイしたいところだが、小説にしろゲームにしろ、いい作品を読み終えたあとは心地よい浮遊感が残る(byレオル)もんで、とりあえず一日は間をあけたい。問題は木曜から正月のバイトラッシュが日曜まで続くので、その前の火・水で終わらすか、全て終えたあとの月曜からプレイし始めるか・・・ゼロは俺に何も言ってはくれない・・・。




余談。最優秀賞をそれぞれ決めるなら。


最優秀戦闘賞=ベアトリスvsザミエル
最優秀章=九章
最優秀男優賞=ヴァレリア・トリファ
最優秀女優賞=櫻井螢orザミエル
最優秀新録BGM賞=Einherjar Albedo
笑わせてくれたで賞=ルサルカ・シュヴェーゲリン