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キャラ雑感・藤井蓮






D




主人公。通称練炭。ギロチンという主人公にしては一風変わった得物を用いるが、首切りの特性は別として、見た目はどう見ても鎌である。まあ【命を刈り取る】という共通項で括ればそうズれてもいないか。厨二的にも鎌は人気だし。加えて能力は加速(厳密には体感時間を遅くすることだが)、極まると体感時間の遅延・停滞を周囲にまで広げる時間停止という、どこぞの第三部主人公のような反則能力を有する(似たような能力の使い手はDIO・キングゲイナー・ラッシュロッド・009など)。・・・のだが、その第三部主人公と同じく、完全な時間停止は最終盤でようやく発現する為、それまでは加速による高速移動を駆使してギロチンを叩き込むという戦法を取らざるをえず、確かに加速能力も充分に強力ではあるのだが、この加速能力を使いこなせるようになるのも終盤に差し掛かったあたりで、その頃にはたかだか速い程度では何のアドバンテージにもならないような怪物が相手な為、いまいち効果を発揮しているとは言いにくい。相性的に時間停止にまで行き着かなければ常に速さで上を行かれてしまうシュライバーは元より、マキナやザミエルにさえ、それまでの四百倍やら三千倍やらの無理くりな速度を持ってしても、【読める】という理由だけで止められたりしている。時間停止にしても、獲得した直後のラインハルト戦においては【対等に戦える条件】としてしか意味を為さず、死者を呼び出して人間弾幕ならぬ能力弾幕を張るラインハルトに比べ、やはり効果的とは言えない。まあ、主人公らしいといえばらしいし、この反則能力を持ってしても、クリリンにすら雑魚扱いされた同じ時間停止能力の使い手グルドと比べれば充分マシといえなくもない。


上記のような要因から、潜在能力は反則的なくせに目覚めるのが遅く、さらに敵の強さが尋常ではない為、常に苦戦しているイメージが付きまとう。苦戦するにしても能力や知略による駆け引きがあればいいのだが、基本的にこのディエス・イレというゲーム、能力バトルではあるが、この攻撃がこうきたからこう返してこう攻めるといった、武術的な理合の概念が薄く、相性が響く面々や、複数の拷問器具を駆使した頭脳プレイが得意な司狼を別にすると、ドラゴンボール的な力のぶつかり合いがメインである為、融合型=頭に血が上りやすい、という蓮の性質も合わさって、正面から突っ込み敵の能力に迎え撃たれて防戦一方、という展開が多い。言い方は悪くなるが脳筋というやつか。また初戦で勝敗が付かず決着は次回に持ち越しという展開が蓮の場合多く、首に当てれば一撃という能力と、その格を下げないために防戦が多くなるということもあるだろう。蓮といえば戦闘時に「っ・・・ぁあぁっ!」とか言いながら必死に敵の攻撃を避けては「今のは奇跡的かわせたが・・・次は・・・」とか「このままでは・・・」とか、常にそんなイメージがある。


そのうえ敵が十三人、そのうちいくらかは味方にまわり、いくらかは同士討ちで勝手に数を減らしてくれるとはいえ、自力で倒した敵の数があまりにも少ない。戦闘回数自体はダントツでトップなのだが・・・その悉くでやはり苦(略)。とはいえ主人公らしく、決める時は決めるので影が薄いということはない。まあ玲愛ルートのラストの影の薄さ、というか蚊帳の外っぷりは許してあげよう。直前にプレイした村正の場合も、主人公に何重にも誓約がかかっているため苦戦しまくりというイメージが拭えなかったが、向こうはなんだかんだで苦戦しつつもしっかり倒していたりする。まあ発展途上と制約による苦戦では意味合いが違ってくるけどね。


戦う理由は日常へ帰るため、という、これまた典型的なラノベ系主人公のテンプレートなのだが、日常へ固執している割には香純や司狼、先輩等の仲のよろしい面々以外のクラスメイトに関しては名前も覚えていなかったり、関わりあうのはお互いに面倒だろうと発言していたりする。日常を嗜好しているとは言っても、流出の【自分が望んだ人間以外の時を止める】という効果から考えて、あくまで自分と関わりのある人間の空間に対しての愛着か、別段進んで関わりたくはないが、何事もなく退屈に、平穏無事に流れる時間というか世界を感じたり眺めるのが好きなのだろう。倫理的に一般人を犠牲にすることを許さないタチではあるが、それより大事なもの(香純)が天秤にかかれば、罪悪感を感じながらも決断自体は即決な面もある。ここら辺はまあ、グダグダと悩みに悩む優柔不断系主人公よりは好感が持てる部分だろう。終わったあとにグダグダ抜かすことは多いが。


また日常に対する疑問点が沸くのは、ゲームにおける日常部分の不足もあるだろう。が、まあ、下地として大事とはいえドンパチ期待して買ったゲームで日常描写の割合が多くてもウザいだけ、と個人的には思っているし、不足しているように感じるのは07以降、クンフト・ファーブラと発売されるたびに、分岐までの共通である六章あたりまでをスキップですっ飛ばし、そのすっ飛ばした六章までに日常成分が多めに入っているからかも知れない。香純が割りを食うのもここらへんが原因の一つか。


司狼の【自分は普通ですって顔してる変態】という評は的を得ており、博愛的というよりは偏執的であると言える。それは上記の流出の効果からも明らかであり、その渇望を認めようとせずに日常に拘り続けた香純ルートがバッドエンド同然なのは皮肉ですらある。ついでに学校でクラスメイトが虐殺されるのも日常寄りの香純・螢ルートだし。


まあこのゲーム、主人公の蓮以上の魅力的なキャラクターが多い、各々一品料理を張れる食材を鍋にぶち込んだような状態なので、自己主張しあう食材の中で味が薄れるのは仕方ないかも知れない。ただでさえ後からぶち込まれた連中(主に三騎士)の味が濃すぎるというのに・・・。少しは春雨役に徹したシュピーネさんを見習・・・わなくてもいいか。ちなみに蓮を抜かすと最も早く鍋に投入されて、序盤のうちにダシ汁を出しきってしまい味が薄れた食材はやっぱり香純。




好きな台詞「ぷりーん」