キャラ雑感。遊佐司狼&本城恵梨依








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「遊佐司狼」


蓮の親(悪)友ポジ。あるときから既知感に苛まれるようになり、未知を求めて平穏な日常から脱出する。香純や玲愛と違い、出生経歴は極普通だが、あらゆることにかけて天才的で、さらに既知感とあわせて獲得した身体的リミッター解除が上乗せされ、聖遺物を持つことなく黒円卓の面々とそれなりに渡り合える。


・・・と、所謂超人だらけのぶっちぎりバトルハッカーズに生身で乱入し渡り合う一般人担当と思わせておいて、ルートによってはルサルカやヴィルヘルムの聖遺物を奪い取ることすら可能な、ある意味黒円卓以上の超人キャラ。ラインハルトと同じく既知感を持ち(ラインハルトが常に苛まれているのに対して司狼のそれは断続的という違いはあるが)、髪も金髪、身体能力はリミッター解除済みとはいえ形成状態の平団員とヤり合えるレベル(攻撃力と防御力に雲泥の違いはあるにせよ)と、明らかにタダの一般人じゃねえなコイツという設定を匂わせていたのだが、その正体が明かされるのは最後に解放される玲愛・・・先輩ルートだった。


つまり初プレイでいきなり完全版から、というプレイヤーは兎も角、07版、もしくは09年の夏に発売したクンフトからのプレイヤーにしてみれば、最低でも半年、長ければ二年に渡ってこの疑問が放置されたことになる。それゆえ、既知感による無敵モードや、これも完全版で追加された先輩ルートでの本気シュライバーのチートぶりを見たからこそ言えることだが、展開上やむを得ず本領を発揮する前に沈んだシュライバー等の要素が加わり、「ご都合主義の塊」「相手を弱体化させる能力」「コイツが出ると敵の格が下がる」等、一部割と酷い評価を受けていた。


とはいえ性格面ではチンピラとバトルマニアと死にたがり(別に死にたいわけではないが)の要素が程よくブレンドされた、既知感と生来の気質からくる常に飄々として斜に構えることを忘れない性格と、中の人(ルネッサンス山田)の演技も加わり、個人的には大好物の部類だし、戦闘面におけるご都合主義も、むしろ苦戦しまくる主人公より爽快感があっていいじゃん・・・と思ったり。事実マリィルート第九章における「復活ッ!」はBGMも展開も絵も台詞も最高に格好良い。既知感による無敵モードは確かにご都合主義と捉えられるかも知れないが、それならば戦闘中に能力が開花していく蓮も、その能力上ご都合主義になってしまうし。・・・いやまあ司狼のご都合主義は公式というか仕様というかメルクリウス公認なんだけど。


何より無敵モードと双璧を成すもう一つの特徴、策を練った戦いこそが、力押ししか出来ない蓮にはない司狼の魅力なのだ。聖遺物なしの状態であれば液体窒素クレイモア、爆薬、銀の銃弾等を用いた対抗策、聖遺物ありのときは【血の伯爵夫人】の特性を活かした多彩な攻撃方法。作中である意味最も異端なチンピライケイケ超人でありながらも、策を練り相手を罠に嵌める戦法を取るという二面性。敵との軽妙な会話も加わり、司狼のバトルは見ていて楽しい。・・・まあ、チンピライケイケな性格そのままの戦闘スタイルだとヴィルヘルムやシュライバーと被ってしまうし、軽妙な掛け合いもやはり相手が同じく好みなバトルジャンキーとキチガイだからかも知れないが・・・。


さらに言えば、融合型は聖遺物とのシンクロ度が高ければ高いほど興奮状態になるため、冷静な判断が困難になる、というデメリットを抱えているはずで、それは蓮やヴィルヘルム、シュライバーにおいても共通しており、司狼も例外ではないはずなのだが・・・。まあ普段からアドレナリン全開なので、聖遺物の影響で興奮しようかしまいが変化はない、ということなのかも。そもそも融合型と具現型の境目が曖昧なような気もする。司狼とか具現してるようにも見えるし、もしヴィルヘルムが具現型ならどうなっていたのか。某格闘ゲームの某忍者のように巨大な釘が武器になるのだろうか。まあ某忍者は釘ほとんど使わんのだけど。


そのうえ策を練るとは言っても「・・・それで練ったつもりか?」としか思えないものも多い。液体窒素(笑)やらクレイモアやらがいい例だろう。そもそも何故クレイモアなのか。あの時点で司狼とシュライバーの面識もなければ来るのがシュライバーであると確信できる要素もないのに、ピンポイントでシュライバー対策、というか他の団員相手だと無意味ではなかろうか。全ては既知のなせる業か。


最も司狼の場合、策を用意しつつも常にリスキーな選択をするという、原田組長に言わせれば「死人の打ち筋」が根底にあり、それこそが真のバトルスタイルといえる。




その正体は、メルクリウスが自らの自滅因子として世界が生み出したラインハルトと同じく、蓮に対しての自滅因子。既知感は座=メルクリウス=分身=蓮という形で受け取っているのだろうか。白本によると既知感発動中は世界(座)による辻褄合わせ(知っているのなら死ぬはずがない)により死ぬことがなく、既知感を消すには蓮が座との連結を断たれるか、座が別のものに置き換わるか、蓮が死ぬかしかないらしい。・・・その割りには既知感が一瞬消えたマリィルートは兎も角、香純ルートや先輩ルートで死んだりしているが。あくまで既知感発動中は死なない、ということか。自滅因子はあくまで比喩であり、正確にはメルクリウスにとっては既知を壊して未知へ導く要素、蓮に取っては既知たる日常を破壊し歯止めをなくす為のパーツ・・・らしい。確かにメルクリウスが己を滅ぼすものとして望むのはマリィだし、ラインハルトや蓮、ひいては司狼も全てがその目的を果たすための重要な要素の一つでしかないのだろう。


ラインハルトと同属性の存在なのだが、その割にはこの二人の絡みは少ない。少ないっつーかほとんどない。死んでたり、顔直接あわせたときは蓮・螢を含んだ三対一だったり・・・。折角だからこの二人が邪魔なしで相対したらどう言葉を交わすのか見たかったのに・・・。


また聖遺物を獲得した際には即形成に至り、直後の戦闘でもヴィルヘルムにツァラトゥストラよりよっぽど様になってるじゃねえか」と評されたりと、適応力というか、使いこなすことに関しては恐ろしいものがあるものの、創造には至っていない。おかげでやはり一部からはシュピーネさんと揃って形成(笑)と呼ばれたことも・・・。


まあ、聖遺物を扱うことに特化した聖遺物である蓮ですら、創造に至るまでは一定期間を必要としたのだから、獲得して二日三日で創造位階にまでいけやオラというのは、いくら司狼でも無理があるのだろう・・・。唯一螢ルートのED後に関しては希望があるからも知れない。その場合、どんな能力になるのか・・・。渇望が未知・・・というかデジャヴを失くすことだから・・・いやでも司狼の強さってデジャヴによる無敵モードによるところが大きいから、それだと弱く・・・。もう創造【デジャヴタイム】でいいか。


またルサルカの【血の伯爵夫人】を奪取出来たのは、ご都合主義というよりは相性がたまたま良かったとはメルクリウスの言。というかそれしかなかったらしい。言われるだけあって、形成時の総合ステータスや聖遺物のシンクロ度はルサルカより高い。地星涙目




「本城恵梨依」


蓮と司狼が冒頭後入院していた本城総合病院長の娘で司狼の相棒。特技はパソコンに代表される電子・工学関係の取り扱い。司狼と同じく既知感・・・デジャヴに苛まされており、司狼の本質が明かされる先輩ルートまでは同じく結構謎なキャラだった。既知感の正体は司狼の既知感が感染・伝播したもので、司狼のように特別な役割があるというわけではない。それでも魂の強度は並外れているようで、黒円卓の面々を前にしてもあまり動じなかったり、形成に耐えたりする。


が、それだけ。全編通してこれぞサブキャラ!といわんばかりのサブっぷりで、他の味方キャラと違いスポットが当たることはあまりなかった。強いていえば螢ルート第九章、もしくはマリィルートのシュライバー戦が見せ場と言えるかも知れない。特に前者に関しては、香純ルートでは九章の同じシチュエーションで司狼が蓮の横に居た為、これは司狼の代わりにエリィが生身で戦う、もしくは聖遺物獲得フラグか!と期待したのも束の間、その後は特に何事もなかった。・・・酷い。


戦わない、ヒロインでもない、ならばせめて脱げ!脱ぎやがれ!エロゲーらしく!と叫んでみても、濡れ場・脱衣どころかパンチラすらせずに終わった。ある意味鉄壁である。爆守備の使い手気取りかこのアマ。


別段エリィの濡れ場がみた・・・いやまあ、あるかなしかならそりゃあったほうがいいだろう、多分。あって困るもんでもないし。香純ルートではルサルカに捕らわれた香純が影触手に陵辱されるシーン(未遂)があったが、同じようなシチュエーションが螢ルートでエリィに対しても割と無理なく適応可能だと思うし・・・。飄々としてるという意味においては、ある意味先輩より濡れ場の反応が楽しみな・・・いやまあ、いいか


元々エロ重視のゲームではさらさらないことはわかっちゃいるのだが、エロゲーとして立ち絵と声があり台詞もそれなりにあるキャラを脱がさないのは怠慢・・・と思うのは間違いだろうか。まるで実用に耐えない内容とボリュームなら兎も角、シナリオ重視系としてはそこそこのクオリティはあるだけに・・・。