復讐編


装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、喜劇の幕が上がる。






以下ネタバレ









これまでの情報を統合すると、第5編終了時点で一条も香奈枝さんもいないとBADEND。試しに第3編で香奈枝さんを殺し、一条を生き残らせて第4編に突入した結果、香奈枝さんの代わりを一条がこなす、という点や、何故か雪車町から正宗を受け取って仕手となるというトンデモ展開があったものの、当然BAD。 ・・・しかし香奈枝さんも一条も雪車町も、戦闘中楽しそうに笑うなぁ。笑うというのは本来攻撃的な行為であり以下略。雪車町、香奈枝さんは言うに及ばず、一条も既に狂人の素質が見え隠れしているので、雪車町が景明に言った「まっとうな人間がまっとうでない世界に手を出した」の下りはまさにかも知れない。


さてとなると、4編の時点でまず二人とも生存させつつ、4編で殺さず、5編、ニッカリ青江の代償としてどちらかを殺さねばならず。4編でガーゲット少佐の代わりに二人を殺さずにすますには、選択肢「娘だ」「違う」の選択肢で「娘」を選択すれば殺害対象が娘こと卵から孵化して2代目銀星号(光)にタゲが移るらしく、ここまではよし。この時点で一条ルートに進むことを念頭に置いた好感度は「香奈枝さん4・一条2」。このまま行けば、「好感度が高いやつからバッサリ」というルール上、5編、ニッカリ青江の代償は香奈枝さんに・・・









・・・あ、あれ?




・・・どうやら最後の最後、ルート分岐に関わる殺害に関しては、今までとは逆に好感度を低いほうをぶった斬るシステムらしい。なんか何からなにまでニトロプラス・奈良原の掌で遊ばれてる気がするぜ・・・。 しかしやっちまったもんは仕方ないので、大人しく香奈枝さんルート「復讐編」に突入。


復讐をテーマにおいた香奈枝編。その言葉通り、復讐は何にもおいて優先され、相手の人格がどうであろうと、自分に復讐と言う名の裁きを下してくれる相手なら何者であろうと構わなかった景明と、一個人としてはそれ(復讐)を最後には否定しつつも、「復讐は死者のものである」として、生者の理屈(この場合は香奈枝)を省みることなく、復讐を行う一個の装置となった香奈枝。なんというか、仮にもお互い主人公・ヒロインという割り振り(この2元論めいた立ち位置にこの二人を当てはめるのがそもそもの間違いかも知れないが)なのに、お互いの欲求がひたすらに人格を無視してるというか・・・。最後に「愚かしい二人の道化芝居」とまとめられてはいたけれど、景明のほうは愚かしい―ひたすらに不器用という形で至極納得するにしても、香奈枝さんは人格を考慮はしたけど、したうえで「それはそれ」と脇において殺しにかかれるキチガイだからなあ・・・。




以下時系列に合わせた感想羅列




・冒頭
いきなり来栖野小夏としか思えない人物のモノローグから始まり、「ああ、復讐編てそういう意味ね」と納得。持ちかけられた暗殺話には当然断りを入れ・・・なんというか、親王殿下と署長、結構図々しいよね、断ってもいいよ、とは言うけど・・・。ちなみに直後の足利護氏死亡に関しては「ああ、なんか見るからにサブルートくさい」という感想。別に目標は依然として銀星号であり、護氏はあくまで第三勢力の親玉という位置づけであったにせよ・・・、その親玉がこうもアッサリ死ぬと、ああサブだ、と思わざるをえない。


建長寺襲撃
まずは1つ。ジーグじゃん。ジーグだろこれ。「中身」は声からして小夏とあと誰かもう一人、忠保か?というのは想像が付くだけに、復讐編の中核を担うであろう敵の武者が、こんなマグネットパワーオンな代物でいいのか?アラハバキとデザインを逆にするべきだったのでは・・・。


同時期に行われる建長寺の襲撃、というか香奈枝さんの一人舞台。予想が外れてツルギは楽器だったとは・・・。確かにフィクション的にはギターを見たら銃器と思え、が通説だし、あの楽器もただの楽器と見るべきではなかったか。でも香奈枝さん、江ノ島に楽器持ち込んでたっけ・・・?


・署長
なんというピエロ。ていうかそれ以前に(江ノ島での一件があるとは言え)、会って数日のGHQの人間に護氏暗殺を頼むな。しかもそれを断られたことから疑心で自滅。もしかしてこのコンビ(親王&署長)、頭よさそうに見えて実はバカなんじゃあるまいか・・・。


・香奈枝さんの真相
あーそれ伏線だったのかーと。雄飛が香奈枝さんに対して「無条件で愛されている」と感じたのも、雄飛の両親がいない設定だったのも、所謂ギャルゲ的ご都合主義ではなくて、全て理由あってのこと・・・と。江ノ島での浜辺の一件も、全部これで繋がりました。


・・・ここで景明が「殺します」と宣言した香奈枝さんに傅いて感謝するシーンでは、香奈枝さんの動揺ぶりから、「ああ、そのパターンか」と思ったものの、そんな生ぬるくはありませんでしたとさ。


・飛行船
鋼鉄ジーグ戦から続いてまたしても選択肢の嵐。何度死んだやら・・・。ここらへん、変に総当り式AVG風味にせんでも、普通に文章で進めてよかったのでは・・・。擂粉木の罠に気付くまでが一番時間かかった。意味もなく台所で料理したり、キャプテンに渡せるもの全部渡したりしたよ・・・。


あと突入時に最新式とは言え数打ツルギ2体を相手どって「勝てるわきゃねー」とトンズラした村正に関しては、もう情けないの一言。手間取るわけにいかないってのもわかるけど!殺せないって制約が付いてるのも了解してるけども!ねえ。


・核
銀星号GEKIMETU。当面上のラスボス、それも人知を超えた天災とまで称される魔王が、よりにもよって偶然降ってきた核で退場・・・。ああ、サブだなあと思った瞬間その2。




・永倉家にて
ボケ倒し。突っ込み役(一条さん)が足らぬっ・・・!


・対ジーグ2戦目
ジーグかと思えば、オープンゲットまで。いや、ジーグもバンバラバンバンだからこれもジーグか?ジーグパーツシュートなのか?さらに当然の如く選択肢の嵐にて、何回か死ぬ。多すぎねえか?選択肢。


中身の真相はここで明らかになるも、4人乗りのうえに忠保はいませんでした。アテが外れたなあ。4人の死体を見て嘔吐しつつ叫ぶ景明は、こちらもその惨状に気分を悪くしつつも、なんかお家芸じみてきたなあとちょっと思ったり。その癖直後の場面転換後には(時間経過はあるにせよ)すっかり普段の様子を取り戻して香奈枝さんと漫才を行ってるので、なんかもう本人も慣れてきてるのかも。


・雪車町


「その瞬間理解した。湊斗景明の敵は――雪車町一蔵なのだ、と」


とまで言われた宿敵が、ヒロインお付の婆さんに倒されるって・・・。とは言えさよさんは香奈枝さんに常にセットで付いてくるlvを凌駕して、二人で一つlvの息の合い方なんで、香奈枝ルートの場合さよさんを一人の脇役として見るべきではないのかも知れない・・・。


・大鳥邸襲撃
クライマックス。ラストバトルを最終回、もしくは最終回後のエピローグと見るならば、その1つ手前がバトル的には最も派手に立ち回るのが道理なれば、大鳥香奈枝、大暴れ天童。あんまり大立ち回りが過ぎて、景明さんの影が薄いです。獅子久との戦闘はあるものの、もはやお馴染みの選択肢がウザイし・・・。一応当人の自覚はないけど、雄飛のことと結びつけると割りと因縁の対決だったり。あとは屋敷地下で銀星号の成れの果てを見つけて絶叫放心。うん、いつも通りの湊斗さんだ!


香奈枝さんの大立ち回りはもうなんだ、どこのリオデジャネイロin吸血鬼といった無双ぶり。つーか時間停止って、生身最強じゃないスかアンタ・・・。屋敷の住人の反応からして初見だと多少ギャグっぽさが先行するものの、エンディングを迎えたあとに考えると、あの反応は妥当かな・・・と。多分召使間で虐めが横行してたら嬉々として復讐代行殺害してたのだろうよ。


・さよさん
生身最強その2。そしてそのツルギは一発ネタにしても反則です。ここにも吸血鬼が・・・。


・妹
普通のエロゲーキャラとしてなら見た目だけでヒロインの一人を張れそう。獅子咆に調教される姿を見たかった。香奈枝さんの調教も途中で中段しちゃうし、ほんとに残念なヤツだ獅子咆・・・。


・エロ
そこからだろオイ。


・ラストバトル
燃えより悲壮感が先行するラストバトル。にしても香奈枝さん怖すぎ。表情もさることながら、発する声が「ギエー」だの「ケケケェー」だの、ほぼ奇声オンリーで、およそヒロインの所業ではない。複眼も勘弁。宵闇幻燈草紙に出てくるクトゥルフな生物みたいだよ。イメージ映像ですってなら兎も角、この人の場合実際に複眼全開な気がする・・・。

ただ奇天烈さだけでなく、バロウズの欠陥を香奈枝さんの能力で補うことにより、オリジナルの弓聖に劣らぬ力を発揮するあたりは素直にツボ。致命的な欠陥を抱えた特殊能力を、もしここにそれを補うある能力を持った人物がいるとしたら、という手法はやはりいい。対する景明も、超限定された条件下でのみ有効な魔剣という、刃鳴散らすの鍔眼返しにも似た技を繰り出す。燃ゑる。直前の選択肢さえなければ。6×6で36通りの選択肢って何の嫌がらせ?しかも2つ目の選択肢が、過去の戦いでの状況でなく、今現在の状況下での選択肢だと気付くのに大分時間食ったし・・・。それさえ早めに気付いておけば、実質6×1で6パターンで済んだのになあ。




さて次は一条編。どう狂うことやら(一条が)。