魔王編


装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、喜劇の幕が上がる。






以下ネタバレ









英雄・復讐が終わると開放される第三シナリオ。というか長さ、内容的に前者2つをも統合した正式ルートとも呼べる魔王編感想です。つーか茶々丸ちゃうやんけ。


分岐は矢張り第5編終了時から。村正の過去―村正の生きた時代、戦国やら江戸やら幕末やら鎌倉やらと違い、何故か全くメディアでプッシュされない南北朝の戦乱。村正が妖甲と称されるようになった理由、その生涯とその目的が明かされます。が、そんなことより村正の人間形態がヤベエ!褐色銀髪エルフ耳!つーかダークエルフ!ピロテースだ!オイフェだ!直球だ!ストライクだ!俺は村正と結婚したぞ!


どうでもいいけど、蝦夷族、不老って割りには男はフツーに歳取ってる気がする。初代村正とその奥さんを比べてみると・・・。単に歳の離れた夫婦なのかも知れないけど、同年代のはずの弥源太爺さんと右京を比べても同じくらい、どころか弥源太爺さんのほうが老けて見えます。髪が白い所為か・・・?男のほうは普通に老けるみたいな設定ありましたっけ?


初代村正と言えば10年近くに渡る「まだ工夫がつかねーからもうちょい待って」という引き伸ばしは、裏切りがなくても「実は敵方に与してるのではないか」と疑われて村を焼かれる理由に十分な気がする。あとこれは最後まで謎だったんだけど、鍛冶蝦夷の一族にツルギとして以外の名前はないのかしら?娘も村正、孫も村正、自分も村正って、身内なら「あて」だの「かかさま」だのでいいけど、他人が呼ぶとき困りそう。初代村正にも親がいたはずだし、なら親の銘はどうした・・・とか。些細なことですけどね。


村正の人生を体験し、舞台は再び現代。英雄、復讐編と久しく見ることのなかった独房in景明。道具扱いを改めて相棒として歩み寄るべきだと考えた景明の行動に驚いて蜘蛛形態のまんまでキャーキャー騒ぐ村正が可愛い。「人間大の蜘蛛と愉しむ性的交渉」。一向に構わん。古本だとかクトゥルフモンスターも過去にいたのだ。看守もいい味出してます。


・村正2世vs村正3世
景明の提案を否定し、精神汚染を実行するも土壇場で中止して逃げ出した村正は銀星号と鉢合わせ。仕手なし、ツルギ同士の戦闘が始まるも2世にボコされた挙句、前作刃鳴散らすで主人公・武田赤音から雑魚に贈られた名台詞「才なく心なく刀刃を弄んだ愚物」を吐き捨てるように投げかけられる3世。・・・どうも全編通して村正は色んな相手に割りと酷く誹謗中傷罵詈雑言を浴びせられてる気がする。正宗、2世村正、光、茶々丸・・・。生身の体とその過去を知った身としては、ちょっとそこまで言わんでも・・・と思える人らが多数いますね。特に茶々。


危く潰されそうなところに景明が駆けつけて、銀星号退散。景明と村正はここにきてようやく正式な契約を交わすのでした。景明は村正の過去を見たことによって、英雄編では自力で悩みぬいて悟った善悪相殺を早足で理解した感がありますが、まあ魔王編が英雄・復讐を終わらせないと開放されないルートなんでいいでしょう。また同じことを同じ結論出すのに時間かけられてもプレイヤーはダルいですし。「自力」で理解した英雄編にもまた違う意味が生まれますし。ここでの泣きじゃくる村正の「なんでよぅ・・・」は反則。うごー。


・OPムービーアレンジver
要はネタバレ搭載版。洗脳景明がさりげなく映ってやがる。


で、ここから話は三度護氏暗殺に。今までなんやかんやでボカされてきた護氏暗殺の真相が、景明が暗殺を請け負うことによって遂に明らかに。


「む・・・村正・・・お前・・・なのか」
「ええ・・・そうよ御堂。人として生きていた頃の私よ!」


多分このゲームで一番笑えた場面。非常に、その・・・個性的・・・だな?


結局護氏暗殺は銀星号出現によって滅茶苦茶になるわけですけど、とすると復讐・英雄編でも護氏を八幡宮ごと消し飛ばしたのは銀星号で、英雄編冒頭で死んだ香奈枝さんは、今回の景明の役割を請け負ったはいいものの、銀星号に殺されたということか。・・・護氏暗殺が成功したのか、そもそも実行後なのか実行前なのかもわからんけど、香奈枝さん、どうやって護氏を暗殺する気だったんだろう。景明と同じ方法で臨んだのだとしたら・・・


「フン・・・見苦しい言い訳は止すがいい、刺客めが」
「ど、どうしてバレましたの?」
「そんなバカデカイ楽器を担いだ神官がおるかバカモノめ!」


・・・てなことになっていたのでは。多分一番の適任者はさよさんだと思う。


・vs銀星号
英雄編の切り札、レールガンパンチ、通用せず!つーかこのタイミングでこの技を開眼って、ほんとに英雄編の道程を踏み台にしてるなあ。バリアは卑怯だよ。ただ英雄編での「アレで倒せんならアラハバキの竜気砲で倒せてたろ」という疑問が氷解したことはしたかな。倒せたのは重力バリアが使えなかったから、竜気砲はバリア使用・・・と。そして茶々丸もこの辺から本領発揮。護氏にトドメ刺したり光を匿っていたのは茶々丸なのが判明したり。ということは、アーマーレースんときのCGは何気に凄いネタバレだったのか。まあ復讐編での描写から関わりがある、匿っているのは予想がついたものの、CGに出てたあの人がそうとは思わんかった。茶ァしばいてるし。


場面転換後、茶々丸の堀越屋敷へ。茶々丸、光を交えた日常パートなわけですが、景明の煮え切らない態度がほんとにもー。このゲーム、景明の大体の部分は共感ないしは理解できるんですが、光に対するこの悩みっぷりだけは共感し辛いというか、イライラさせられる。光というキャラがあまり好みではないからそう思えるんでしょうけど。つーか肉親設定(特に妹)って卑怯だよなー。前提条件として好感度MAXから始まってるようなもんだから、プレイヤーが(妹を好みでない場合)追いつけないっつーか。銀星号は光の夢ってのも、本人自覚してるぶんむしろタチが悪い。精神汚染で戦う気のない人まで巻き込むのがなければまだ好意的に見れるんすけどね。

ああでも景明の夢に光と茶々丸が介入するイベントは面白かったです。まさにニトロ10周年。ルイリーを出さなかったのは被るからだろうか。キモウト的な意味で。後童心坊への「うわあ」。


光を救えるという言葉に動揺した隙に付け込まれ、洗脳された景明は茶々丸の副官となって六波羅へ。しかしこの辺から茶々丸の村正への罵倒が容赦なさすぎてひどい。堀越屋敷でのコメディ風味の憎まれ口を通り越して、憎悪すら感じる本気本物の悪意。これ、過去に因縁があったとかなら兎も角、単に景明を縛る存在だからってことで疎んでるだけなんですよね、自分が後発の癖に。しかも村正の呪いまで自分の計画に利用してる癖にこの言い様。光と並んで身勝手キャラ筆頭なんで、あんま好きになれませんな。これも好みの問題で、茶々丸のほうが好みであれば許容できるんでしょうけど。


・獅子咆
魔王編の六波羅・四公方は綺麗な四公方状態で、日常、戦闘どちらにおいても凄く好印象なんですけど、これ好印象抱いた時点で善悪相殺の真理をプレイヤーが悟れるようになってますね。他のルートでは悪役だったのを魔王編では逆の立ち位置にすることによって、その人物が悪一色なんてのは独善的な見方にしか過ぎないってのが感覚で理解できるようになってます。特に顕著なのが獅子咆(逆にあんまり変わらないのが雷鳥。他ルートで特に悪党描写がない。活躍度は真逆だが)。景明との食事中に心情を吐露して「これでは妄想狂だな。ああ、下らん。ふん」と自嘲、というか照れを隠す場面は、復讐編を先にやらせてこそだなあ。デレ過ぎ。くだらん、ああ下らん!


建長寺襲撃
これも三度。軍勢を背にした茶々丸他二人のCGが掛値なしに格好いいです。そしてここで遂に雷鳥さんのツルギ&実力がお披露目。景明曰く「タイプは違えど光に匹敵するかも知れん」。それは強すぎませんかねェ・・・。これで英雄編で銀星号に傷を付けたのも雷鳥でほぼ確定ですね。強すぎる。獅子咆に「ヤんのかよ?ああン?」と凄まれてビビってたのは何だったんだ。笹川vs小弓の総力戦なら兎も角、タイマンならほぼ間違いなく雷鳥が勝つのでは・・・。そんな雷鳥の相手に選ばれた一条&正宗コンビは、威勢の良いキャラから主役補正を取っ払うとこうもかませ犬になるのだということを身をもって実証。好戦的、威勢が良い、ツルギの知名度は天下一と、かませに必要な要素が揃いに揃ってやがるぜ・・・。黒瀬童子は・・・まあいいや。


そしてここからが魔王編の真骨頂。六波羅、GHQ、建長寺組、緑龍会、四者四様の思惑が入り乱れた一大決戦。中でも四公方の本領発揮ぶりは異常。劣勢の中にあって実質単機でGHQの航空母艦+艦載機を落とし、その株の上昇度が留まるところを知らない雷鳥。窮地の普陀楽に大和唯一にして最新の航空艦「マテンコウ」に乗り、携帯式竜気砲を装備した決戦部隊、零零式(GHQにダブルオーと呼ばれてちょっとほっこり)を率いて参上する獅子咆。覚醒した銀星号に単身挑む童心坊。輝きすぎであろう。一方GHQ側ではアメリカンズと緑龍会の野望を阻止すべく、建長寺で見なかった香奈枝さんが裏で手を回して引っ張ってきた国連のお偉いさん、ルービィ・サシュアントが登場。が、ウィローを殺してキャノン中佐とクライブを軟禁したはいいものの、直後に宵暗に救出されたキャノン中佐の手にかかり、死亡。無駄にキャラを立たせようとした意図が台詞のあちこちに見られたり、立ち絵も用意されてるのにも関わらず、江ノ島に出てきた研究所所長よりも高速で退場。その後「実は生きてました」「実は人外でした」という描写もなく、本当に死んだ模様。何しにきたんスか?むしろGHQ側での見せ場は、実は因縁があったさよ婆さんvs宵暗か。二人ともGHQの人間じゃないけどな!つーかさよ婆さん、復讐編で吸血鬼って書いたのはツルギの性能と、その効果による若返りから冗談で書いたようなもんなんですけど、まさか本物の吸血鬼だったとは・・・。この生身最強二人のバトルが端折られたのは非常に残念。この他にも魔王編は、童心坊vs銀星号、獅子咆の最後、虎徹景明vs雷鳥等、結構美味しい場面がカットされてんですよね・・・。獅子咆の突撃→通信途絶は演出として良し、童心坊はどうせ負け戦ってことで納得するとしても、虎徹景明vs雷鳥は書いて欲しかったなぁ。

普陀楽攻防戦後半、香奈枝さんの助力によって城内に入った村正と景明&茶々丸が遂に再会を。ここの選択肢で「捨てられる」を選べば茶々丸ENDに。村正に対する二人の態度がヒデエ。茶々丸、弄られキャラの癖に村正に対してだけは容赦なく攻める側に回るんですよね・・・。後本人のルートでなくとも要所要所はきっちりこなす香奈枝さんは、一条と違ってしっかりしてますね。元々がサブキャラタイプだから一条と違ってあんまり苦にならないのかも。

打ち切り漫画みたいな茶々丸ENDを選ばなければ、晴れて洗脳が解けて景明&村正のコンビ復活。そのまま茶々丸戦、茶々丸の正体も明らかに。けどなんか・・・虎徹茶々丸ver、ダセエ!なんで顔だけそのまんまなんだろう・・・MS少女みてえ。変身ポーズと詠唱は良いし、茶々丸ENDの景明verみたく、顔さえ覆ってしまえば獅子咆の名伏に匹敵するイケメンツルギなのに勿体なし。


茶々丸の時間稼ぎ戦法で四郎は桜子に殺され、単造雷弾投下。その力を銀星号が取り込んでいよいよ最終決戦。まあ指揮官のキャノン中佐があんな状況だし、四郎が生きてたとしても投下されてた気がしますが・・・。それより茶々丸文字通り瞬殺する雷鳥がヤバい。村正は殺されかかったってえのに。さすが銀星号にも万が一がある(茶々丸談)と評された御方。


最終決戦は野太刀を取り戻した村正vs銀星軍団から。八剣姫のネーミングが中2全開です。特に「ここが境界線」→見得きりCGの流れは何で2回やるんだよ。笑っちまう。この中2センスは光と2世村正どっちから来てるのか。レイディバグやブラックホール・フェアリーズから見るに光っぽいけど、江ノ島インパクトやリバース江ノ島インパクトがあるから一概には・・・。でも景明も相手の技を強引に中2カタカナに変換する習性があるんで、血筋とすればやっぱ光かしら。


八剣姫戦はお約束通り、一条と香奈枝さんが助っ人参上して「ここは任せて先にいけ」。ヒロイン・仲間として以上に、復讐・英雄編のラスボスが助勢に来るという燃え展開。でもどう考えても八剣姫&零零軍団に勝てるとは思えないよなー。だからこそ、雷鳥がここで小弓十傑あたりを引き連れてくる展開を夢想してたのにきませんでした。膝丸ー!早くきてくれー!


二人が勝てたor持ち堪えられたのは、神が景明に放った重力ビームが避けられてそのまま二人の交戦域にまで侵入。零零軍団を焼き払ったとかを予想。まあ香奈枝さん&バロウズは兎も角、一条&正宗は根性と正義がある限り不死身で負けない気もするが。


元ラスボス二人に助けられた景明は遂に神と決戦。小手調べの攻撃をしまくる所為でそのたびに学習して強くなる神。アホだなあ。でもそれよりゴッド右京のほうがもっとアホ。「神が俺に力を求めたのだ・・・」ってとこで「おお、やっと光か」と思ったのにアンタかよ!確かに伏線はあったけど!全身百式よろしく金メッキだし、その癖顔だけ生身だし、出てきちゃ出てきたで瞬殺されるし、なんだよもう。このG右京やら鋼鉄ジーグやら、真面目にやるべきところをネタに走り過ぎて重さが失われてる感が少し残念。これがデモベなら全然オッケーですが。


前座を倒して遂に光=銀星号との最終決戦。刃鳴散らすそのままの鍔眼返しを繰り出し、それを避けた銀星号に対してさらに脇差の一閃、をもチート能力で無効化した銀星号のリバース江ノ島インパクトによって、村正宇宙へ。宇宙て。インフレは留まるところを知らず、ブラックホールを繰り出せばパズル(勘弁して)で抜け出してレールガンでぶった斬・・・ったかと思えば反撃の一蹴りで月を割る銀星号。もうお前らはスパロボへ行け。テッカマンみたいなノリで出れるよ多分。人格消失しながらのラストバトルも同じだし。


最後は善悪相殺の呪いを逆に利用した魔剣装甲悪鬼で決着。死に際の回想で、景明が光の父親であることをプレイヤーに明かしました。やっぱりね。理由が「署長が不能になったから」までは予測できませんでしたが・・・。もしかして景明が濡れ場んときだけベッドヤクザになるのは、スバル様との行為を思い出して当時の精神状況(薬漬けでクキャキャキャ)をトレースするからか?新城大尉みたいに。


光については、余裕がなくなってからの身勝手ぶりのヒートアップに参った。自分で村正と景明が装甲するように誘導したも同然のくせに、泥棒猫呼ばわりするわ(お前もか!)、往生際は悪いわ、挙句の果てに「私を殺せば善悪相殺で村正をも殺すことになるぞ!それでもよければやってみるがいいーッ!!」と一気に小物化。み、見苦しい・・・。精神年齢は所詮病気で床についた中学生のままなのか。ところで光は、父親が景明ってこと気付いてたんだろうか。最後に愛を確かめて満足するあたり気付いてた可能性もあるけど、もしそうでなければ、スバル様との約束に固執して言い出せなかった景明が元凶な気がしなくも・・・。不能になっちゃった署長かも知れないけど。


ともあれ、これで長かった悪鬼編も終わり、装甲悪鬼村正の物語にも決着が・・・と思いきや、エンドロールの後の謎のエピローグに続いて悪鬼編がスタート。この食い切れなさは久しぶりだ・・・。そういえば雪車町さんがまたも放置プレイなんで、寄生獣最終回みたいな雪車町vs景明が悪鬼編の内容なのかな?景明さん死んでますけどもん。




というわけで次回悪鬼編。これで多分ラスト。