英雄編


装甲悪鬼村正 二〇〇九年一〇月三〇日、喜劇の幕が上がる。






以下ネタバレ









一条ルート、英雄編感想。


冒頭、香奈枝さんの殺され方が、復讐編での一条さんと違う。景明による殺害ではなく、第3者による殺害・・・。最後までこの真相は明かされなかったけど、これはいまだに姿を見せないドイツ軍関係者かな。ウォルフ教授と香奈枝さん、そう仲が悪そうにも思えなかったけど・・・そういえば水質調査の伏線も放置してあったっけ。ついでに、復讐編より早くで護氏が退場。・・・もしかしてこの人、サブルートの都合により早期退場する親玉じゃなくて、単なる中間フラグだったのか?


・正宗vs村正
一条に景明のこれまでの所業をチクる雪車町。復讐編での小夏へのプッシュと言い、パシリというよりチクリ魔。それを聞いて、景明に詰問する一条。無論景明は行為に関して肯定はするものの、釈明、理由の説明はせず。本当に不器用っつーか真面目っつーか・・・。バトル自体は結局、1日の間に署長に善悪相殺のルールを聞かされていた一条が、刃を引いて無効試合。署長GJであろう。しかし正統派ツルギ最高峰だと思っていた正宗が、一気にゲテモノ臭くなる。熱量を消費しての炎熱剣はいいとしても、仕手の肉を物理的に引き千切って弾丸にし、しかもそれが射程が短く自らも被害を被る自爆技。バカなのか。


・普陀楽城編
香奈枝ルートでGHQの比重が大きかったように、一条ルートでは六波羅の比重が大きく、この潜入となったわけですが。ちゃんと突っ込みが入る会話が実に久しい。香奈枝ルートだと3人でボケ倒してたからな・・・。和服姿の一条可愛い。そして新キャラとして岡部寄綱の娘、桜子が登場。陵辱。能の舞台に姫さんが呼ばれた時点で嫌な予感しかせず、その通り上げて上げてブチ落とす童心坊。やぁ、一条はよく我慢したよ。ただエロシーンが香奈枝さんと同じく、いざこれからが陵辱本番ってとこで終わるんだよなあ・・・。山賊の棟梁もそう。調教ゲーで言うなら第1段階が終わって第2段階の調教がスタートした時点で強制終了される感じ?第1段階で完結してればただ薄く短いだけですむのに、第2段階に入りつつお預けを食う形になるので余計に不満が・・・。まあ長くやられてあんまり気持ちいいシーンではないけれど・・・。あんま処女とのエロシーンは痛そうで好きではないのです。媚薬でも使って下さい。


陵辱の後は予定通りに行動を開始、するもののバレてました。そして内通役の岩田さん死亡。顔アイコンは用意されてるのに立ち絵はないという稀有なキャラでしたね岩田さん。永倉の翁や校長先生にすらあるのに・・・。んで、バトルは柳生常闇vs景明、童心坊vs一条の同時展開。常闇は要するに特殊能力の一切ない「達人」タイプの人で、生身で村正を圧倒。燃ゑる。また、回想に出てきた首領殿が常闇に目を付けられるほどの才能の持ち主だったとか割と嬉しい情報も。相手がただの落ち武者と、達人に目をかけられていた程の落ち武者では結構な差があるので、これなら回想編で下げた実力株を少し取り戻せるかも知れない・・・と思ったけど、現在進行形で常闇に殺されかかっているのであった。相手が柳生筆頭とは言え、遂に生身の人間に敗北しかかる村正。連敗記録更新中。


一方の童心坊vs一条。意外とツルギ戦でも強い童坊心&胴太貫。ううん、ますます杉崎雷鳥の立場が・・・。でも同太貫って、復讐編だと茶々丸が使ってたんだよなー。どういうことだろう。まあそこは兎も角、正宗のゲテモノぶりが本性を現すバトルでもあります。人肉榴弾の次は、仕手の肋骨を巨大化させ、相手に突き刺す自爆技。六本骨爪。技名聞いた瞬間とシルエットからみるに、一瞬るろうに剣心に出てきた「暗器・六慟蟲」みたいなもんかと思えば・・・。なんか正宗が格ゲーに出たら必殺技を放つ度に体力消費するアバみたいなキャラになりそう。しかも使用時の一条の表情と台詞がもう・・・。台詞は音声で聞くと字面ほどのインパクトはないものの、表情がヤバい。厄い。L5だ。声の香奈枝、顔芸の一条といったところか。


ちなみにこのバトルでの正義の体現者、正宗の特に正義な台詞抜粋。


「クハーハハハハハァ!その一撃が正義の怒り!その一撃が弱者の嘆きと知るがいいィ!肥溜めの底で腐った糞尿より汚らしい血を撒き散らして死ねェ!!」
「ギハハハハハハハ!まるで絞め殺される豚の悲鳴だァ!!」
「ギィィハハハハハところで御堂。別にどうでも良い事だが今の爆風の余波でなんか右足が吹っ飛んだ」


うん。正義だ。バスタードに出てくる下級天使みたいだぞ!少年法とか知らぬのだ!


番外。


「この正宗に死角なァァァァシ!手も足も出ない窮地に陥ることもあろうとこんなこともあろうかと予期し―肋骨を出せるようにしておいたのだァ!」


さらにマッド属性まで追加。どこまで突っ走るんだこの人(ツルギ)。


戦闘終了後はエロ。香奈枝さんに比べてやけにタイミングが早くて驚いた。内容自体はこれまでと同じ消化不良。わざとやってないかい?ン?


建長寺作戦会議
超展開。というか、主人公=湊斗景明を脇においやって一条主体で話が進んでゆく。それにしても一条を主軸にした対六波羅軍のメンツ。親王、署長、亡国の姫とその親衛隊長と、SRPG、もしくは亡国戦記物としては過不足のないメンツが揃ってるのに、ここまで旗揚げ1週間で潰されそうな空気を演出してるのはなかなか凄い。熱狂に浮かれるのを第3者視点で見るとここまで醒めるものなのか。


建長寺壊滅
直後、と言う程でもないが、場面的には大して間を挟んでない(船上とvs小弓十傑?)のでほぼ直後。笑うしかない。やっぱりダメだこのコンビ(親王&署長)・・・。


一番笑うしかないのは、茶々丸の最後だろうけど。署長はネタに命を賭けすぎだと思う。


雷鳥
見せ場も何もなく、死亡!獅子咆の見せ場は復讐編、童心坊は英雄編、となると、雷鳥の見せ場は残る茶々丸ルートで用意されている・・・のか?茶々丸の言う通り、いい意味でバカで、この作品の常人代表にしてもいいくらいの萌えキャラで、杉崎なのに。・・・でももしかすると、銀星号の母衣に傷を付けたのは雷鳥かも知れないので、そういう意味では英雄編の影の功労者なの・・・かも。茶々丸「一介の侍大将してりゃ幸せだったろーに」って言われてるし、実は強い可能性も捨てきれない。・・・ただ頭使わずにすむって意味かもしんないけど。


あと銀星号に吹っ飛ばされた正宗の雑魚っぷりが半端ない。


・vs銀星号
装甲が薄い―と言うのは能力表でもそうなってるんだけど、あんま納得いかないなあ・・・。銃弾指で弾いたり竜気砲跳ね返してたりしてたし・・・。あれは重力操作なのか?


レールガンパンチにはどう突っ込んでいいかわからん。格好よければ全て良し。装甲されてる右腕以外は速度に耐え切れず空中でミンチになりそうとか知らんのだ!


・ラストバトル
正義を標榜する一条と、正義を掲げることもまた悪であるとそれを否定する景明のラストバトル。理というか、まともに戦術的な駆け引きが行われてた復讐編と違って、ただひたすらに信念と信念と魂、そして肉と内臓のぶつかりあい。どうも一条は、世に氾濫するテンプレートな正義の味方(悪い意味でなく)をメタったキャラのようで、景明の投げかける言葉はこのタイプのヒーロー全般に当て嵌まってしまう。しかし、このタイプの正義の味方に囲まれ、憧れ育った現代人としては、一条の言葉にもまた頷ける部分が多く、結果、復讐編のラストに比べれば素直に燃える展開であるにも関わらず、どちらに感情移入すればいいかわからない戦いが始まる。人が望んでいるからこそ、正義の味方は世の中に溢れかえるわけだしね。フィクションではあるにせよ。が、それはそれとして。


「正宗七機巧が一!割腹――投擲腸管!!」


バカがここにいた。景明もスローイング・オーガン!?」とか無理やり英訳して驚いてる場合ではない。何でも当て字付ければいいってもんじゃねえだろ!しかもこれを使うのが、正義を体現するツルギとヒロインってのがもう・・・。正宗さん、国宝として一度も戦場に出されず封じられてきたらしいけど、ある意味正解だったんじゃねえかな・・・。味方が見ても「あれ、これ俺ら悪役側じゃね?」と士気が下がるに違いない。あと、ツルギ養成所みたいなとこで蝦夷に一人混じって色物扱いされてそうな正宗が目に浮かぶ。


「我のツルギはな、肋骨を巨大・甲鉄化させて相手に突き刺すギミックを備えようと思う。むろん、仕手の肋骨を使うのだがな」
「へ、へー・・・奇抜だね」(何考えてんだコイツ)
「さらには仕手の腸を甲鉄化させて相手の動きを拘束する機巧も取り付けたく思うのだが、どう思う?その名も投擲腸管!」
「い、いいんじゃないかな?」(コイツヤベエ・・・)


↑多分こんなんだったハズ。


ただ見た目の奇天烈さを抜かすなら、正義の主人公を見事にメタったツルギとヒロインだと思う。根性論大好きコンビだし、自爆技は補正により事実上体力無制限の主人公ならデメリットなし、極めつけが正宗のシノギ、因果応報。どんな勝負であれ奥の手を先に出したほうが負け(なくとも不利)な創作世界において、技自体が相手の奥の手に対しての後だし専用というのは圧倒的なメリット。・・・がそれはそれとして、やはり腸を振り回して攻撃したり、顔面を縦に真っ二つにブッた斬られながら鬼の形相で反撃するヒロインは、もはやヒロインではない。最後の戦いは主人公vs主人公という表現が適切に思える。


・雪車町さん
すっかり忘れてました。暢気に空眺めてんじゃねーよ。


・エピローグ
成長した一条が良い感じ。こっちのverでエロをくれ!また、復讐編と比べて大和の情勢が超不安定。この状況を生み出した原因が一条の童心坊殺害にあるとすると、なんとも複雑な気分に・・・。最後の最後の「だが好敵と書いてトモはいたのだ」ってシーンは、ある意味二人仲良く静かにご臨終の復讐編より切なくてこみ上げるものがありますね。ただどう見てもバトル物の女主人公ですけど。お前のようなヒロインがいるか!




これでとりあえずメイン二人分、復讐編と英雄編が終わったわけですが、どちらが上かは兎も角、好みなら英雄編かしら。一条も香奈枝さんもどっちも狂人なんだけど、香奈枝さんの狂気が天性のものであるのに対し、一条の狂気は幼少時の経験が元となっているぶん、理解がしやすいし。


後は善悪相殺。復讐編では香奈枝さんに復讐を宣言された時点である意味思考停止してしまった景明が、英雄編では殺人の意味を真に理解し、吹っ切れた感があるので。


ただ途中の生理的嫌悪感と言うか、精神的なグロさも英雄編のほうが酷く・・・まあ童心坊の小姓による例のシーンなんですけど。正義の代価というか、お前が殺した悪人も別の人間から見れば善人だったんだよ?という側面をクローズアップする手法としては別段珍しくもないものの、ひとえに効果的なCGと表情の変化、さらに死産した赤子の破片を食させるという行為が全部あわさって、もうなんかギブ。復讐編の来栖野小夏の場面ではそこまで胃にこなかったんだけどなあ。なんの違いかこっちはキリキリきた。実際正宗はキリキリしすぎて崩壊しかけたし。が、それを「うろたえるな!」と一喝、胎児の贓物をも飲み込んで立ち上がる我らが正義狂人綾祢一条。さすがだ。


そういえば香奈枝さんと一条。一条から見ると正義を建前に殺人を嗜好する香奈枝さんは紛れもなく悪なんでしょうけど、外から見るとやってるこた同じなんですよね・・・。香奈枝さん、建前とは言えそこらへんきっちりしてるし。そのうえ小姓の一件で正義の代償を理解するまでの一条よりは、香奈枝さんのほうが正義の本質を理解してた節が・・・(狼の仲間に食い殺されるぞ=それが正義です、の談)




これで残るはダンガンライガーのシナリオのみ。か?