キャラ雑感メインキャラ編。湊斗景明と湊斗光にちょっと追記。以下ネタバレ








湊斗景明


主人公。一言で示すならば「捨てられない人」。バトル物主人公の大部分がその過程で殺人行為に慣れていくのに反し、作品のテーマと善悪相殺の呪いと本人の気質のお陰で悩みを捨てきれず悔やむ人。この「殺人行為に対する慣れ」に関しては、元より殺し合い前提の物語で殺すたびに苦悩して嘆くようじゃ、見る側としてもテンポが損なわれるうえにいい加減ウゼエとなって然るべきなので当然の処置なワケですが、このゲームでは善悪相殺という呪いによってそれを解決、誰だって自分慕う可愛い女の子を殺したくはないですからね。殺さずにいると逆に殺しにかかってきますけど・・・。


基本善人でありながら、善人ゆえに人を殺し、善人ゆえに悩み、善人ゆえに犠牲を無為にすることを拒みまた殺すという、うーん、善人というか基本ド真面目。湊斗さんの美点であり同時に駄目なところ。もうそこ吹っ切れていいだろって段になっても悩み続けて、逃げようとしても周りがそれを許さない。本人の気質を環境が後押しなんかするから悪鬼になっちゃう。


人気としてはバトル系エロゲーは男キャラが上位に食い込むことがままあるものの、湊斗さんの場合上位どころか多分他の男連中やヒロインを差し置いてぶっちぎりでトップ人気だと思われる。また、主人公の癖に4ルート中実に半分で死亡する。茶々丸EDを番外的なものとして除外するならば、生き残る道は悪鬼となるしか残されていない酷い運命。多分一番幸せな終わり方は復讐編。


と、本人の行き着く先は悲運・不運属性満載の一方、過去、特に学生時代は意外とリア充生活だったと思われる節が多々。山岳部、アーマーレース同好会、サッカー部に所属しつつ、野球ではバントの神と呼ばれ、その当時はまだ光も年齢一桁代だったであろうことを考えると結構な多趣味&充実ぶり。性格も暗闇星人と呼ばれてはいるものの、あくまで思考がネガティブ、雰囲気が暗い、表情が陰鬱なだけであって、よく喋り、口調から変人と見られつつも社交的で多趣味多芸ゆえに会話をあわせるのもうまく、ボケ&ツッコミ双方をこなす。ダウナー系というより天然系?また声が非常に嵌っており、探せば他にもいるのかも知らんが、湊斗景明といえばこの人以外に考えられないLV。ボイスなしの文章だけだと湊斗さんの味のあるキャラは半分も楽しめないのではなかろうか。


最終的な選択=武帝は悪鬼さながらの選択に見えて、始祖村正と同じく根源は性善説なのが湊斗さんらしい。戦いの醜さ、むなしさを見せ付け実感させることで争いをなくそうって考え方は、基本善性を信じないと成立しないもんなあ。逆に一見理想論に見える統様の考え方「殺したら憎しみの連鎖が止まらないよ?だから殺すな」ってのは性悪説に基づいてるっぽいのも面白い対比。まあ元より戦いにきてる軍隊は兎も角、代償として殺される一般市民にとっては冗談じゃないキチガイ理論には違いないんですが。


追記。湊斗さんに関して大事なことを忘れてました。苦戦しすぎ。最強の武者の癖して楽に勝てた記憶がほとんどねえ。首領の弟とニッカリ青江くらいじゃなかろうか。それと言うのも善悪相殺、必殺技であるレールガンの性質、野太刀がないから万全じゃない、湊斗さん本人がそもそも滅茶苦茶強いわけでもないと、これでもかってくらいハンデ背負って戦ってる所為。特に善悪相殺の呪いが大きい。村正との帯刀の儀をすませて「これで心甲一致!」と思えば護氏に苦戦、洗脳が解かれて村正復活ッッ!でも虎徹茶々丸に苦戦という・・・。覚醒・パワーUPイベントの後に即苦戦てどないやねん。普通そういったイベントの後にはそれまで苦戦していた(もしくはしていたであろう)敵を一蹴するもんなのに、善悪相殺でそれが出来ない、手加減しようにも武者は手加減しちゃろくに止まってくれず、むしろ実力的に手加減など出来る相手ではない奴らが多いので結果苦戦する・・・と。殺人剣より活人剣、殺めるは易し、伊達にするは難しという言葉が、これほど身にしみるゲームもあるまいて。


で前作、刃鳴散らすの場合は生身同士で殺しあう話だったんで、奈良原節ともいえる薀蓄が効果的で、地の文で溜めて溜めて決着は一瞬!だったのが、今回は双方ともに武者というケースが多く、その武者がそう簡単に致命打を受けない為何度も斬りあう、悪く言えばグダる場合も時々・・・。ただこれは空中でのフタワガカリの場合で、地上戦だと割合ワンミス=即死という緊張感と、術理が空中より活きるフィールドの相乗効果で良い感じだったと思います。右京戦とか獅子咆戦、虎徹戦とか。空中も数が多いだけあって雪車町戦やバロウズ等、名バトルも無論あるんですが・・・。趣向で選べば地上戦かな、と。一番いいのは生身での地上戦、即ち第五編のvs首領殿二戦目であったり、建長寺での洗脳景明vs黒瀬童子になんですけど。まあこの辺増やすとそれこそハナチラでやれとなってしまうので、大人しく生身でカタルシスを得たければハナチラか鬼哭街をやれということで。


あとは熱量。これは湊斗さんがってより作品自体の文句みたくなっちゃいますが、その場その場で某種ガンよろしく展開の都合にあわせて熱量が切れたり切れなかったりが顕著。第二編冒頭の右京戦なんか、首筋から出血してたとは言え数合斬りあってシノギ一回発動して空中に吹っ飛ばしたあと追撃しただけでガス欠。対して第四編の場合、弾丸食らいまくって四肢の半分を炭化させられ、シノギを使い、レールガンまでぶっ放し、休憩を挟んだとはいえ雪車町と戦ってアラハバキを倒してガーゲットをぶち殺し、光に追いすがる。かと思えばガッダイダー戦でまた熱量不足によるピンチと言う・・・。雪車町への反撃なんかをみるに、単にテンションで熱量増減すんじゃねーの?って気もしますが・・・。基本湊斗さんは戦いに対するテンションは低めなんで、そう考えると納得がいくような気がします。一条や雷蝶閣下、光が強いわけだ。


が、なんだかんだ言っても、このゲームで一番、否、エロゲーで一番、いやさ数ある作品の中でもトップクラスに好きな主人公なのは間違いないです。よく漫画の人気投票なんかで主人公が一位取ると「おいおい操作されてんなあ」と思いますが、湊斗さんに関しては全くそれがない。この人が一位でなくてなんだという。今更真面目誠実主人公?と訝しむ人は村正をやれ、と。極めるとはこういうことなのです。良くも悪くも。




三世村正


相棒兼ヒロイン。公式には「冷淡な性格」とあるものの、某褐色仲間の「狡猾・残忍」並にアテになりませんな。性格としては一番ヒロイン、というか人間としてまとも。他のヒロインが自身の信念に基づいた結果、殺しにかかったり決別したり洗脳したり一度殺して生き返らせて自分のモノにしようとするのに対し、あくまで主人公の側にいて肯定し、支え続ける女房役(洗脳未遂やバッドENDでの殺害はありますが)。悪く言えば他に比べて癖がないとも言えるが、他が癖ありすぎな連中の為、むしろ癖のないことが特徴となる、ジムカスタムみたいなヒロイン。


また物語上の扱いも他のヒロインと違って超安定。というのも、他のヒロインが自身のルート以外では影が薄かったり、個別ルート突入直後に死んでて出ようにも出れないのに比べ、村正にはヒロイン属性が消えても相棒属性担当として最後まで一定した出番がある為。


ただしその出番に比例するかのように、他キャラからの扱いも郡を抜いて酷い。元々このゲームのヒロイン連中は光・茶々丸の組み合わせを除くと必ず片方は片方を嫌ってるような有様とは言え、村正に関してはやっぱりひどい。香奈枝さんにこそ何も言われないものの、一条には善悪相殺のあり方を否定され、母親である二世村正にはボコボコにされた挙句「鋳潰されるのがお似合い」とまで言われ(二世が鋳潰されることを命がけで懇願して止めさせた三世村正としてはキツイ台詞)愚物扱い、光には泥棒猫呼ばわりされ殺されかかり、茶々丸からはクズ鉄、駄作、駄鍛冶、無能と罵詈雑言のオンパレード。トドメに雪車町には湊斗さんへのあてつけとして串刺しに。・・・あまり苛めてやるな。


最も可愛いと思えたのは三編でレースに出ることを頼み込まれた時の反応や、監獄の中での性的交渉、二世にボロボロにされた後正式な契約を結ぶシーン等等。・・・なんか蜘蛛型の時ばっかりだな。人型のほうが好きなハズなのに。まあ人型には悪鬼編のイチャつき全般があるからいいか。いいだろ。なんだかんだで死が二人を別つまで―という王道にたどり着けた唯一のヒロインなんで、幸福度では作中No1かも。




綾祢一条


ヒロイン兼ライバル兼英雄編の主人公。正義厨。彼女の行動を「青臭い」だの「他人の迷惑を省みない正義バカ」だのと断じて批判するのは勝手ですが、そんな人らは本棚にあるジャンプ漫画の半数以上を焚書の刑に処せばいいと思います。人を殺さない正義の味方なぞいねえ!


彼女と彼女の父親を見ていると連想するモノ。それはBASTARD!!20巻に出てくる「裁きを行うテメェらの正義は一体誰が証明するんだよ!」という台詞。正義とは即ちその時代に生きる多数派の人間によって形作られる法であり道徳であり、それを体現するには一個人を捨てるしかない。正義の為に自らの妹の首をはねた天使ウリエルは正義の矛盾に耐え切れず、堕天。正義の名の下に遊佐童心を殺した一条は、その縁者によって正義の代償を眼前に叩き付けられます。しかしその矛盾を飲み干し、自らの正義が狂人の論理と悟りながらも、「それでも―正義はある!」と血を吐くように叫ぶ一条のなんと美しいことか。


その性質上、生き残るルートではどうしても景明と敵対する為アンチも多い一条ですが、正直あの問答は前半戦は兎も角、義清とのイベントを終えて正義の矛盾を理解した後半戦は、劇中でも言われてるようにどちらも正しいので、そこまで嫌われるのがわからないなあ。むしろ「それでも!」と頑なに正義を追い求める姿が一途過ぎてたまらんのですが、駄目な人はそこが駄目なのかしら。それにこの世にはどうしたって殺すことでしか止まらない悪人や吐き気を催す邪悪(byジョジョ)が存在するわけで、そういった自分の味方は自分のみといった人間に対しても善悪相殺を適用する湊斗さんは少し真面目というか、潔癖に過ぎると思います。本編で否定された殺人行為の委託も、おかげで余計に殺されるもう一人にしてみれば「イヤイヤ勘弁して下さい」って話でしょうし。それに「正義を掲げる」ことを独善とするならば、その独善を断ち切る善悪相殺の理論は果たして絶対なのか?それすらも独善では?とも。まあこの辺は独善タグを付けると何の意見もせき止められちゃうんで、要約すると二人ともキチガイということでよろしいんじゃないでしょうか。


そんなライバル属性の臓物ぶちまけッ娘一条ですが、担当する英雄編以外の扱いが悪いのは非常に残念。復讐編は兎も角魔王編はもう少し出番をくれてあげても・・・。これ、自分が復讐→英雄→魔王(悪鬼)の順でプレイしたからまだ魔王編プレイしてても英雄編の余韻のお陰でどうにかなったものの、復讐と英雄の順番が逆だったらと思うと・・・。雷蝶閣下に傷を負わされて以降、最後の助っ人にくるまで出番がマジでゼロに近いとあっちゃあ・・・。悪鬼編の感想にも書きましたが、正義の矛盾を自覚してない一条はキャラとしての魅力が大幅に落ちますからね。その状態で対極者ヅラして最後の最後に現れてもイマイチ心躍るものがないっつーか・・・。正宗と自身の英雄補正も、主役を外れるとなくなりそうな気が・・・。メタ過ぎる。


好きなシーンは三編の砂ホコリを取ってやるイベントと、六波羅潜入時に簪イベント。着飾らない一条に色々してあげるというシチュがツボですね。後はやっぱり「うろたえるな正宗!」と、英雄編ラスト、曲に合わせてのダブル装甲シーン。赤いマフラーは正義の味方には欠かせません。仮面ライダーや009と言うよりもチェンゲの竜馬のイメージですけど。あたしに解るように説明しろ!


ちなみにハラワタをぶちまけるというキーワードやその見た目から某武装錬金のヒロインに似ていると言われる一条ですが、個人的にはカオシックルーンの棗クランのほうがそれっぽい。髪型、ちっさい、何より同じ自爆技使い。




大鳥香奈枝


ヒロイン兼復讐者。大鳥大尉殿・・・愛しておりました。ある意味一番ヒロインらしくないヒロイン。というか復讐編の感想でも書いたようにお互い恋愛感情を持ってないので男と女ですらない。ラストバトルを見るに香奈枝さん側からは情を含んでいるものの、それを塗りつぶす本能が手に負えません。そのうえ長身、結構いい歳、奇声、複眼と、どんだけニッチな属性かき集めて作られたんですかと言わずにはおれません。


本質的には復讐という正義を建前に殺人という悪を為す悪人なわけですが、本人の殺人嗜好を抜きにするならば、一条と結果的には似ているのかも。また、心で殺したくないと叫んでも、獅子咆を殺したことで復讐の何たるかを悟ってしまったがゆえに殺すしかないという点では、それまでの犠牲を無駄に出来ないから殺すという湊斗さんとも似ている。一条が対極者なら、香奈枝さんは善を志向しつつも悪を行う湊斗景明の属性を逆転させた存在だったのではないでしょうか。・・・しかし単純に殺すことが好きなら戦争にでも行けばいいのに。あ、だから軍属なのか?


あと戦闘面に関して、案外この人が一番ケレン味のある描写というか、良い意味で厨二的な描写をされてると思います。糸(バロウズだから多分弦)で銃を空中に固定して全方位射撃とかね。どこのトリガーハッピーですか。さらにギャグ方面においても他ヒロインの追従を許さない立ち位置。村正という作品のギャグ要素の4割を担っていると言っても過言ではないでしょう(後の半分は湊斗さんと茶々丸)。そう考えると戦闘面の演出もスマートで格好良し、日常面でもギャグが冴える、完璧超人にも・・・見えませんかね。


さらにこれは香奈枝さんつーか声優さんに対しての評価になっちゃうんですが、よく声に関しては「あの作品でこのキャラをやってた人がこの作品ではこんなキャラを」てな具合に芸風を評価されるのに対し、この村正という作品に関しては単一の作品内にも関わらず芸風フル活用というか、出せる声質全部出し切ったんじゃないか、とすら。普通声、ギャグ声、冷徹声、奇声と、よくもまあ一つのキャラでこんだけ広げたもんです。惜しむらくは英語の発音がちょっとアレかな・・・と。アンサーワン・リベンジ!とかその辺。英語というよりカタカナをそのまま声に出してるだけって感じが・・・。


出番に関しては、魔王編においても一条と違ってある程度活躍する場面があるのがポイント。GHQ、というか英国所属というプレイヤーにしてみれば忘れかけていた立場を活かした見事な立ち回り。一条にはこういう器用な立ち回りは望めませんからね。武力とカリスマ、あとは知らん!みたいな。そう考えると雷蝶閣下と一条は似てるのかも知れません。


好きなシーンはラストバトルとエピローグ。特にラストバトルの「こんな男はうんと幸せにしてあげるべきなのだ!」「アナタは昔、死にたがっていたのよね?」という場面。直後に複眼発動パラドックスショット。ひでえ。




足利茶々丸


ヒロイン兼敵役。声がうるせーから神を起こして静かにさせる。その結果世界が滅ぼうとしったこっちゃねえ!という思想の持ち主ですが、恐らく神復活後、遅かれ早かれ結晶体になるか光に滅ぼされるであろうことを考えると・・・光に負け犬と罵られようとひっそりと死んでたほうが本人的にも世間的にも良かったのでは?と思うも、結果として湊斗さんに会えたんだからまあ、いいのかな?


正妻(村正)から寝取ったり、主人公を洗脳したりと、戦うヒロイン系エロゲーに出てきて調教・陵辱の結果ヒロイン(主人公)を堕としてしまう悪役幹部みたいな印象。この寝取り行為と言い、理解は出来ても納得できない傍迷惑な動機のおかげで、ちょっと好きになれませんなあ。洗脳景明にデレる姿は可愛いっちゃ可愛いんですけど、本人の意思剥奪しといてデレるも糞もないですよ。この人もこの人で香奈枝さんと同じく、自分を道具として扱ってくれる人間なら割と誰でも良かったのでは・・・。他ヒロインと違って、湊斗さんにそこまで好意的になる過程が薄いんで、どうしても取ってつけたような愛情に思えます。声で一目ぼれとかふざけてんすか?


まあ光が言ったように、世界が相手だからといって戦うのを諦める必要はどこにもなく、むしろ強大な存在であればこそ一個人の挑戦を堂々と受け止めてみせよ、という観点からすれば、動機に関してはまだいいものの、手段が悪辣に過ぎた。その悪辣さの犠牲の最たるものが洗脳景明であり、足利護氏であり、足利邦氏であった・・・と。邦氏に対して姉のように接してたってところがまた悪辣度アップだぜというか・・・。


でも装甲シーンだけは作中一、二を争う格好良さ。


「獅子には肉を、狗には骨を、龍には無垢なる魂を。今宵の虎徹は血に飢えている・・・


・・・あとはそのMS少女かヴァルシオーネみたいな造形さえなけりゃな!本来武者の頭部分は兜がある為斬撃には適さないとのことですが、茶々丸の場合その頭ががら空きでは、空中戦だと頭狙われて終わりなのでは・・・。得意技である無手の組み打ちも、空中だと生かせそうにないですし・・・。その癖巨大なガッタリ(しかも双発)を備えてるんだよなあ・・・。まさか交差する瞬間に相手の攻撃を回避しつつ、劇中で村正相手にしたように取り付く戦法なのか?同じく無手の銀星号にはチート能力の重力制御があるんで別格とするべきだろうし。


好きなシーンは三編の大会実況全般と、回想シーンでの光との出逢いあたり。そして何より魔王編での虎徹装甲シーン。ちなみに足利茶々丸で検索すると・・・。史実で元ネタとなった人物がそのまんまいたんですね。親族殺して家乗っ取ったってとこまで同じとは・・・。




湊斗光


ラスボス兼ヒロイン。妹属性と娘属性を同時に備える傑物。ファザコンを通り越してエレクトラコンプレックス。正直本人の状態が父親を取り戻す1つの意思で稼動している夢という点では魔王編の洗脳景明と似たような状態なわけで、そう考えると「本来の光」に関しては情状酌量の余地があるのでは?と思えるものの・・・やっぱりキチガイ。プレイヤー的にもほぼ男性オンリーでしょうし、父親を求める感情ってのは共感しにくいかなあ・・・。


一番気に入らないのが、善悪相殺のルールで憎しみを持って母親である統様を殺すと、代償として愛する父親である湊斗さんを殺さなければならないことを厭って、湊斗さんに殺させるように仕向けたこと。散々劇中で善悪相殺に悩む湊斗さんに説教しておいてなんじゃそらと。ある意味英雄編で罵った「自らの手を汚さぬ殺人行為」に対する批難がブーメランで返ってくるのでは?無論勿論戦う気のカケラもない一般人を大量に巻き込んだのも大きいものの、一番はやっぱり・・・。まあ誰が悪いかって話になると、ギリシャ神話をうっかり吹き込んじゃった湊斗さん、認知できない呪いをかけた統様、そもそも不能になった署長が、いややっぱり鉱毒垂れ流しの原因を作った本家のジジイが・・・と色々言えるんですけど。


後は・・・まあ・・・魔王編の感想でも書いたように往生際の悪さがアレですね「俺を殺せば村正も死ぬがそれでもいいのかァァァ!」という恫喝には戦慄した。それは・・・小物の所業・・・!ただ美点として、茶々丸みたく他人を利用しようとしない分マシか・・・な?


強さに関しては作中最強なんですが、常時無想状態を洗脳景明と同列に捉えるならば、常時地力にブーストがかかっているとも言えるので、素の状態ではいくらか格が落ち、そこで初めて雷蝶閣下や雪車町と並ぶのではないかなと。宵闇さんは別格。


好きなシーンはやっぱり夢介入イベント。アレを光のイベントとして捉えていいのかはアレですが。後はラスボスとしての威厳を保ちつつ散るという点では英雄編でのvs村正戦。


追記。そういえば光って、たった一つの欲望の為だけに動く・その目的を遂げる為なら他人の命なぞ塵芥・結果超自己中、という点で、前作・刃鳴散らすの主人公、武田赤音に似てるんですね。同じく伊烏義阿は湊斗さんに似てる・・・と。刃鳴散らすとは視点が逆転。


んでこの武田赤音は大好きなのに、同じ属性の光はあんまり好きじゃないというこの心理は一体・・・。短編ならあの性格・行動も含めて「そういう物語」と受け入れられても、長編だとキツイってことかしら。なんだかんだで「主人公」という立ち位置も大きいし、壮大な親子喧嘩よりは剣士同士の復讐劇のほうが・・・。あとはやっぱり感情移入する前にキャラが(ry




雪車町一蔵


宿敵。趣味は嫌いな相手のストーキング。ラスボスの後に出てくる裏ボス。最後に主人公と一騎打ちするタイプの。自分をチンピラ、小物、卑劣、卑屈と認めながらもそれを良しとし、それでいて剣腕は最強クラスという燃えキャラ。こういう、実力が本人の人格とは比例しないキャラはいいですね。雷蝶閣下もそのタイプ。四編で湊斗さんを論破しつつのインメルマン・ターンは、このゲーム屈指の名場面かと。


雪車町さんの真面目理論は基本的には正論なんですが、「納得してから殺せや。じゃねぇと殺されたほうは馬鹿馬鹿しくてしょうがねぇ」に関しては、湊斗さんの「どう殺そうが関係ない。人の命を踏みにじることが出来る時点で同じだ」という持論に同意。そりゃまあ、死ぬ側からしてみれば納得してようがしてまいがそんなのどうでもいいから死にたくねえやって感じでしょうし。それに四編の時点ではプレイヤーの抱えていたモヤモヤを代弁してくれたに等しいものの、悪鬼編ともなると湊斗さんへの感情移入度が高すぎて、言ってることは正しいが納得できない状態に。ヒロイン刺した男の言葉を初回で冷静に捉えることの出来るプレイヤーがどれだけいるのか。敵役としてはいい味だしまくりなのは間違いないです。


そしてまた声優の話になりますが、ヒイロ、マサキ、ゼルガディス、流川、マスターテリオン等、美形クール(マサキはクールじゃないけど)が基本スタイルとして定着しちゃってた緑川さんの芸風を広げる意味でもなかなか意義のあるキャラクターだったのではないでしょうか。美形でもクールでもないチンピラをしっかりこなせてましたからね。若本さんなんかが顕著ですが、一度定着してしまった芸風を引き剥がすのは難しいのですよ。


好きなシーンは四編江ノ島でのvs村正戦と、キャノン中佐との酒についての会話。あの会話での「酒を楽しむ為の条件」を当てはめるなら、悪鬼編で村正とイチャついてるときの湊斗さんはさぞかし酒が美味かったに違いない。




その2に続きます。